ランダムウォークとはおすすめ度
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■ランダムウォークとは
→【物事の過去の動きからは将来の動きや方向性を予測することは不可能である】
ということを意味する言葉である。
これを株式市場に当てはめると、株価が短期的にどの方向に変化をするのかを予測するのは
難しいということになる。
言い換えれば、専門の投資顧問サービスや証券アナリストの収益予測、複雑なチャートの
パターン分析などを用いても、無駄だということになる。(P19より)
■株価形成について
マルキールによると、市場における株価形成は、あらゆる情報を瞬時に織り込んでなされる
非常に効率的なものであって、プロのファンドマネジャーの運用成績も、チンパンジーが
当てずっぽうにウォールストリートジャーナルの相場欄にダーツを投げて選んだ銘柄のポート
フォリオも、実は大して差が出ないというのです。
巷で売られている株式本は多かれ少なかれチャート分析を掲載しています。「こういうパターンが現れたら買い(or 売り)だ!」というわけですが、もし全員がそう思っており、一斉に動くとしたら、そのように買い(or 売り)を入れてもちっとも儲からないはず。マルキールはこの本で、過去の株価の動きから将来を予測することの無意味さを証明し尽くそうとします。
■株式市場における法則
・株価はランダム・ウォークする。
・バブルが必ず発生し、必ずはじける。(歴史が証明)
・売買を重ねて安定的に勝ち続けることはできない。
・売買の回数を増やすとコストがかかり不利になる。
(アクティブファンドは、不利)
■個人投資家が機関投資家に勝つための方法
・アセットアロケーションを考える。
(株式・債券・REIT・土地等)
→年齢と共に保守的な運用を心がけるべき
→株式市場の不振が暮らしぶりに直結しないようにする。
(年金生活などの場合は考慮する)
・ドルコスト平均法を行う。
→バブル崩壊時にも怖気ずに、ドルコスト平均法を続ける
→株式・債権投資のリスクを有効に軽減する。
→高値掴みにならないようにする。
→時間分散を行い、必ず上昇する株式と債権に投資する
→歴史から 5年間投資を行うとほとんどマイナスが無くなる(1950年〜2005年の結果から)
・歴史の証明するところによるとリスクとリターンは正比例する。
・株式も債券も投資のリスクは投資期間に依存する。投資期間が長いほどリスクは低下する。
→基本戦略はバイ&ホールド(購入したらずっと保有する)、できればノーロードの広く銘柄分散されたインデックス本書の中では、S&P500が題材になるがアマリにメジャーな手法となったため、そのほかのインデックスも最終的には薦めている。
■投機と投資の違い
「投資」とは、配当や金利賃貸料などカナリ確実性の高い収入の形で利益を上げること。長期間保有して値上がり益を得ることを目的とした金融資産の購入と捉えるらしい。
投機家は、2、3日あるいは、二、三週間の間に大もうけをすることを狙って株式を取得する。投資家は、何年あるいは十年先まで安定的に配当をもたらしあるいは持続的値上がりが期待できるような株式を捜して保有する。
名著の第9版。市場を予測する難しさを、著者が当初意図したのとは少し違う意味でも実感おすすめ度
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「効率的市場理論にたてつく人々は必ずやしくじるだろう」「株式市場全体の方向や個々の銘柄が割高か割安かについて、一貫して正しく予測することはできない。したがって、市場平均よりも高いリターンを上げることなどできないのだ」。
本書は2007年5月の第9版で、現時点の最新版である。時代の変化に応じて適時改定されている。いまさら本書の価値を説明する必要すらないくらい、株式投資関連の解説書としては重要な位置を占める名著である。多少厚みはあるものの、実例やユーモアも交えて読者の興味を引くように工夫して記述されており、投資に関心のある方は一読すべきである。
それにしても、著者が述べるように一貫してマーケットの動きを正しく予想することは確かに難しいと、本書を読んでつくづく思う。そもそも、著者がこの第9版の中で勧めている「REIT型投信は魅力的なポートフォリオ分散の機会を提供してくれる」というのは、サブプライムローン問題の発生後は必ずしも適切な助言ではなくなっている。また、「50代半ばの人のためのインデックス・ファンドを組み合わせた推奨ポートフォリオ」の表には、REITが12.5%、債券が32.5%、現金5%ある以外、50%が株式となっているが、この通りにしていたら、今の商品市場の盛り上がりに便乗する機会を逃してしまっている筈だ。
一方、それが本書の骨子なのだが、株式のアクティブ・ファンドに終始否定的な見解を示しているのは、きわめて良心的である。「プロが運用するファンドは全体として一貫してインデックス・ファンドに負けている」「今日ホットなファンドは、明日には氷のように冷たくなるのだ」。確率論的には本来当然のこととはいえ、様々な巨額の利権が絡むこの業界で、はっきりとこのような見解を広く喧伝するのは、結構勇気がいることだ。
バリュー投資、テクニカル分析、ベータ、日本のバブル崩壊の考察、リスクとリターン、行動ファイナンス、等、多岐にわたって入念な考察が繰り広げられており、そこから株式市場の不滅の真理に迫る一冊である。
Tomorrow never knowsおすすめ度
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金融機関は手数料で儲けている。アナリストがどんなもっともな仮説を立てたところで相場の未来を予測することはできない。売買を頻繁に繰り返すことは彼らが儲かるだけである。投資信託を買えという人もいるがサブプライムローン問題を考えるとどんなスカをつかまされるかわからない。プロでさえだまされるのだ。現物株のbuy and holdという戦略が一番シンプルである。(株価の変動に一喜一憂してられません)
知っておいて損はない事実おすすめ度
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日本も外国人投資家の取引が増えたせいでしょうか、
日経平均のPERや配当利回りが、米国株とほぼ同じ水準に
なりました。今後は米国市場のデータも参考になると思います。
この本の内容は、まず、株式の値上がり益の95%が、
過去30年の全取引日7500日のうち、たった1%強にすぎない
90日間の取引日に実現していること。この日がいつ起きるかは
わからないので、ずっと持ってるのが最強の投資戦略であること。
さらに、予想するのが難しい景気の先行きや株価の暴落を避けようとして、
現金で持っている間に値上がりしてしまえば、値上がり益の大半は
実現しなかったことになります。これはプロのファンドマネージャーが
よくやるミスなのだそうです。
これらの理由も含めて、アクティブファンドがインデックスファンドに
勝てない理由として、
・積極的に銘柄の組み換えを行うので税金の支払いが多くなり、
リターンが下がってしまう。例えば、5年間、年率15%のリターンが
あったとしても、20%の税金を払うと12・5%に低下します。
さらに、信託報酬を差し引くと、11%にまでリターンが下がってしまいます。
一方でインデックス・ファンドは市場平均に追随するだけなので、銘柄の組み換えの
ための売買がほとんどなく、税金の支払いもほとんどありません。
信託報酬もきわめて低いので、この例でいえば、ほぼ15%のリターンになるのです。
さらに、インデックスファンドは追随するだけで景気予想もしないので、
上昇相場に乗り遅れることもありません。
多くのアクティブ・ファンドがインデックスに勝てないのは、このような
理由があってのことだったんですね。
名著「株式投資の未来」も併せて読むと、より効率的で効果的な資産運用が
できると思います。
必読書、基本文献
おすすめ度 ★★★★★
株式投資関連の書籍は直接、投資家の利害と関わるため、「爆騰銘柄」系のとんでも本も依然として多い。それとは対照的なのが本書。やはり株式投資を行う上では読んでおくべき必読書であるという印象は新しい版になっても変わらない。
マルキール氏は効率的市場仮説の大御所として知られるが、本書を読めば全面的にこの立場に立っているわけでもないことが理解できる。
結論的に言えば、株式投資についてはジタバタと売買するよりもインデックスファンドを買っておく方がましな場合が多いということになるが、氏は個別銘柄の選択の楽しさも理解しており、その方法についても述べている。旧版と比較すると削除になったり追加になったりしている内容があるが、全体としての本書の趣旨は変わらない。
私自身、本書の見解を全面的に受け入れているわけではないが、全体として長く読まれている書籍だけある優れた内容となっている。分厚さのわりに読みやすく、翻訳物の隔靴掻痒感も少ない。未読であれば一度は読んでおくべきだろう。一定期間をおいて読み直してみるのもよいかもしれない。