寛容か無節操かおすすめ度
★★★☆☆
初詣・クリスマス・葬儀がなんの躊躇もなく共存していることは、
よく揶揄されるところであるが、
これを「寛容」ととるか「無節操」ととるか。
これが、良くも悪くも、日本の歴史の推力となったという著者の視点は説得力があった。
著者は、二元論に基づく価値判断は、
ベクトルが逆でも矛盾しないのだと考えているのだろうか。
そのあたりの感触をうまく言葉にできないと白状してる姿に共感した。
禅的には「不立文字」というそうです。
かえって分かりづらい…
おすすめ度 ★★★☆☆
芥川賞受賞作家であるだけに文章はウマイが、妙になれなれしくまとわりついてくる感じがあり、読者によって好悪が分かれよう。
一方、西洋哲学やニューサイエンスの知識をすぐ持ち出してきては付き合わせる傾向が目立ち、かえって分かりづらい…。これで根拠付けしているつもりなら、ちょっと違うのではないかと思われる。
タイトルや章扉のデザイン、文中における太文字の使用、巻末の禅語索引など、この本をささえている編集の仕事ぶりが見事。