インブレッド [DVD]
こちらの作品、『狼男アメリカン』+『2000人の狂人』と言った感じ。人によっては、『悪魔のいけにえ』や『変態村』を思い出す人も居るかも。ボランティアで奉仕活動に来ていた4人の少年少女犯罪者たちが、片田舎にやって来て週末を過ごそうとするが・・という「ヨソ者排除系スプラッター」モノ。イギリスだけにブリティッシュパブを拠点にしていて、パブの名は「ダーティー・ホール」。なんだかこの展開、まるきり狼男アメリカン。食べ物を頼もうとしても、「No food」と入り口に書いてあって、かろうじて頼んだら「豚皮チップス」のみ。豚皮チップスは店主の女房のお手製で、「毛深い」と「クサイ」の2種類という。絶対食べたくないようなおつまみに吹き出しましたw。イギリスのパブで頼むおつまみって、ビールはどこも美味しいのに、おつまみはビックリするほど美味しくなかったのを思い出した。
村の人の手が欠けていたり、体の不自由な人が多かったり、精神遅滞であったりという設定の様子。割と全体的に猟奇的な雰囲気を出すのに成功していたと思いますね。村の人々が集って夜に行われるショー、この馬鹿馬鹿しさには結構ウケたw。地面に下着で打ち付けられた男が、ショータイムで何をされるかと思えば、鼻の穴にアスパラを入れられたり、ショーマンの股ぐらから出した人参を口に入れられたり。馬は、何週かグルグル回って、人参だけ食べるなど、しっかり見る者をジラしたりするのですw。この後馬に踏み潰されて死ぬ、という可哀相な運命に。この“殺人ショー”、かなり『2000人の狂人』を思い出す設定じゃありませんか!そう思うと、このちょっと馬鹿馬鹿しい前座も、ハーシェル・G・ルイス的でなかなか面白い。
この物足りなさはさすがに前座だそうで、次にいよいよ凄いショーが。糞尿を限界まで飲まされて、体が破裂するっていう殺され方。これがなかなか凄い殺され方だったのでは。観客の皆さんに、ゴーグルが配られたりもします。グロさと汚さが掛け合わされているのはなかなかに良かったと思うんだけど、もう少し糞尿を大写しにして、本気でオエっと気持ち悪くさせてからの方が、効果的だったのではと残念に思ったりも。
猟奇っぷりはなかなか凄くて、結構印象的なスプラッタシーン多し。冒頭のシーンの、口がぱっかり斧で・・というよくあるものも結構良く出来ていたり、目が取れたり、顔の一部が欠けるシーンや、首チョンパシーンも何種類かあって、その都度少しづつバリエーションも違っていたり。展開も大体読めてしまうので、最後の辺りは間延びして感じられてしまったのが少し残念だけれど、全体的に普通に楽しめるZ級ホラーでした。しかし、無口な少女サムが、どんな犯罪を犯したのか、最後まで分からなかったのだけが残念。
ハーシェル・G・ルイスの好きな人にはオススメです。Z級感漂うホラー。
リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン (続) (JIVE AMERICAN COMICSシリーズ―America’s best comics)
今回は映画にもなった「宇宙戦争」がベースになっています。モロー博士が作ったどこかで見たことがあるような獣人が登場したり、ハイドがあのSF映画の台詞を言ったりと今回も遊び心満載です。オマケも豊富で特に作者が読者に仕返しをする詩はウケました。話はここで一段落つくのですが、三作目のウワサもあるようなので楽しみです。
どうも映画の二作目は作られなさそうですね。
子ども社会の心理学―親友・悪友・いじめっ子
要するに、子どもを「無力な存在」と考えるかどうかだな。イジメや不登校、少年犯罪。子どもをめぐる「問題」が起こると、すぐにその子の家庭環境や性格傾向に原因が求められる。それが終わると、知育偏重の学校教育がやり玉に挙がり、最後は精神鑑定で「診断名」が付いておしまい。何も事態は変わらない。「子どもは悪い影響を受けたので悪くなりました」という閉塞的な物語。
問題解決は、本当は単純なことかも知れない。子どもを「無力な存在」と見なさないことだろう。子どもの持っている問題解決力を「友情」と呼ぶ。誰でも知っていること。傷つかない人生なんてありえない。イジメは昔からあった。学校へ行きたくないことも昔からあった。それを乗り越えてこれたのは「友だち」がいたからでは??いか。遊びやおしゃべりで、子どもは心の健康を取り戻す。そのことは、子ども自身が知っている。
ただ、現代社会は「友情」に不利な状況かも知れない。それは、大人が子どもの「友だちを作る機会」を奪っているからだ。子ども自身の「友だちを作る能力」は低下していない。そう考えると、トンプソン氏が学校や親に提案している解決策のポイントがよく見える。
アメリカのほうがソーシャル・ハラスメント(イジメや少年犯罪)の現状は悲惨で、その分、社会全体で対応しようとするのが伝わってくる。ソーシャル・ハラスメントは当事者ではなく、それを娯楽のように眺めている「傍観者」が引き起こしている。日本の大人たちも早く「傍観者」の位置から抜け出して欲しいと思った。そんな本です(^^;。