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大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇 【Blu-ray】
本作はどこをどう見ても「おちゃらけ」系の映画だと思うだろう。
確かにシュールでおバカな作品なのだが、思いのほか「深い」のだ。
本田監督も「GSワンダーランド」以降メジャー作を撮るようになってきた。
現世で同棲からそのまま結婚し、早くも倦怠期のふたりが、怪しい占い師に
導かれて1泊2日の「地獄旅行」に出かける。
主演の竹之内豊&水川あさみの「けだるい」芝居が最初は「?」なのだが、
これが地獄に行くと個性豊かな俳優たちに囲まれて、だんだん「精気」を取り戻して
くる過程が素晴らしい。
地獄で待ち受けるのは「青い顔をした人たち」と「赤い顔をした人たち」だ。
赤い人たちは凶暴だが、青い人たちは優しい。これは「地獄」といいながら「赤」=地獄
「青」=天国をイメージした設定になっており、まさかの感動巨編に繋がっていく。
地獄の俳優陣は久々の「良々」ワールド炸裂の荒川良々をはじめ、柄本明にでんでん、地獄案内人の
樹木希林に片桐はいりまで、もうこれ反則技に近いぞ(笑)。
地獄はまさにワンダーランドで、400階建てホテルにビーフシチュー温泉、ヘンテコなディナーまで
とにかく大笑いできる。
それから橋本愛である。
「告白」でブレイクしたあと「アバター」のような類似作品に主演したが、そこでは生彩がなかった。
ところが本作はどうだろう。青い顔の運転手として大木家夫婦を救助&案内していくうちに生まれる
「絆」。とにかく「目力」が強い女優なので、ラストで水川と交わすセリフは本作のテイストに
あるまじき(笑)感動を呼ぶのだろう。
特典映像もHDで監督の対談とメイキングが収録されているが、これ短かすぎである。
良々のバカ芝居に何度もNGを出す水川あさみが可笑しい。もうちょっと観たかったなあ・・・
本作は個人的に2011年の日本映画で最高作品です(ちなみに2010年は「春との旅」、その前は
「女の子ものがたり」)。騙されたと思って観てください。星は文句なく5つ。
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大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇
ある日突然なくなった炊飯ジャーを、
たまたま見かけた濡れた男が持っていて、
そこからいろいろあって、
五反田の駅ビルの屋上から地獄に旅行に行く夫婦の話。
会話という言語と、そういう意味で言ったんじゃないけど、
という気持ち(非言語)の間を絶妙に表現している。
最近の劇作家出身の作家は、言葉の周辺のニュアンスとか、
言葉の裏側のどろどろした部分とか、
会話のずれの間の気持ちみたいなところを描くのが特徴的で、
そこが面白さとなっている。
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大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇 (幻冬舎文庫)
ある日突然なくなった炊飯ジャーを、
たまたま見かけた濡れた男が持っていて、
そこからいろいろあって、
五反田の駅ビルの屋上から地獄に旅行に行く夫婦の話。
会話という言語と、そういう意味で言ったんじゃないけど、
という気持ち(非言語)の間を絶妙に表現している。
最近の劇作家出身の作家は、言葉の周辺のニュアンスとか、
言葉の裏側のどろどろした部分とか、
会話のずれの間の気持ちみたいなところを描くのが特徴的で、
そこが面白さとなっている。
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大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇 【DVD 】
特典映像の監督と作者の対談の中で監督が、「CGとかではない地獄を作りたかった」と
おっしゃっていますが、その良い意味での地獄の“緩さ”が居心地の良い映画となっています。
映画館で観ても楽しかったのですが、DVDとして観るとさらに楽しめました。
竹野内さんがコメディ初出演ですが、とても自然で、新しい一面を見ることができました。
“振り幅”の広い俳優さんとして、今後もコメディ出演を希望します。
水川さんとのコンビはピッタリでしたし、お二人以外の脇の俳優さんの演技を見るだけでも楽しめて、
“お得感”いっぱいです!!(福ちゃん、文句無く可愛い!)
主題歌が入っていないのが大変残念ですが、その他は文句無く、星は☆☆☆☆☆です。