先ごろ亡くなったハリウッド映画史上最高の美女の一人、エリザベス・テイラーが最も光り輝いた映画、モンティがいるビリヤード室に入っている初登場シーンや最后の別れのキス・シーン(ハリウッド史上最高といわれている)などはため息がでるほどの美しさ、モノクロ映像とは思えないほどブリリアントだ。

　一人の貧しい青年(M・クリフト)が親戚筋を辿って仕事に就く。
目をかけられ、やがて上流階級の仲間入りを果たし重役の令嬢(E・テイラー)と婚約するのだが、下積み時代の女友達(S・ウィンターズ)が妊娠、別れ話がもつれ、、、
脇役とは言え重要な役まわりを演じるS・ウィンターズの巧演が、映画を引き締めている。

　原作はセオドア・ドライサー「アメリカの悲劇」、実際に起こった事件を題材にしているという。
三角関係の清算という図式的なストーリーの中に､貧困層と富裕層というアメリカ社会の二重性を巧みに描き込んでいる。
捜査網が狭まり青年が序々に追い詰められていく様子、法廷で殺意はなかったと言う青年に検察官がつきつける言葉、後半から終盤の緊迫感に名匠スタージェスの気合が迸る。