浮雲 (岩波文庫)
日本の近代小説の先達は、逍遥でも、鴎外でも、漱石でもない。やはり、二葉亭四迷なのだ、という考えはこの「浮雲」から出ている。その作品が、手頃な文庫本で読める。ここから始めて、豊かな近代文学の足跡をたどることは、おおきな悦びである。
浮雲 (新潮文庫)
日本初の近代的小説である。内容が云々と言うより、「小説というものをどうやって書くか」という点に悩んだ作者の苦悩が伝わって来る作品である。また、作家を志す旨を父に告げた際、「くたばってしまえ」と罵倒された文句をそのまま筆名にした作者の苦衷が忍ばれる。
四迷は小説を書く言葉について考え抜いた挙句、落語の語り口を選んだ。文語(漢語)でもなく、かと言って日常の話し言葉でもない言葉を捜しての苦悩の選択である。現在の眼で見ると文語調に感じられるが、当時としては斬新な試みだったと思う。
その後の明治文学の先駆けとなった記念碑的作品。
四迷は小説を書く言葉について考え抜いた挙句、落語の語り口を選んだ。文語(漢語)でもなく、かと言って日常の話し言葉でもない言葉を捜しての苦悩の選択である。現在の眼で見ると文語調に感じられるが、当時としては斬新な試みだったと思う。
その後の明治文学の先駆けとなった記念碑的作品。