キング・オブ・デストロイヤー コナンPART2〈特別編〉 [DVD]
力がすべてを支配する野蛮な有史前の時代。鋼のような肉体を持ち、剣の腕が一流のコナン(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、相棒の宝石泥棒マラク(トレーシー・ウォルター)といるところを兵士たちに捕えられ、タラミス女王(サラ・ダグラス)のもとに連れて行かれる。女王は、姪のジェンナ姫(オリヴィア・ダボ)の道案内で、砂漠の城に収められているダゴスの角を持ち帰ることをコナンに依頼する…。
1930年代に、ロバート・E・ハワードが『英雄コナン』シリーズで創作したキャラクター、コナンを主人公にした映画化第2弾。前作のジョン・ミリアス監督による硬質の西洋サムライ作品とはうって変わり、リチャード・フライシャー監督は、純粋なファンタジー・アドヴェンチャー作品にしている。フライシャー監督は、翌年には、同じくロバート・E・ハワードが創作したキャラクターを主人公にした姉妹編『レッドソニア』も作っている。日本劇場公開は、1984年8月11日。
形の上では、コナンを主人公しているから続編であることは間違いないのだが、前作からの続きというよりは、完全に独立した作品と捉えるべきだろう。実際、配給のユニバーサルは、『E.T.』で一儲けした後だったこともあって、前作の重厚な復讐譚から家族向けのファンタジーへと路線変更することにし、フライシャー監督も、前作のことなど全く気にしていないかのように(もっとも、当初は、シュワルツェネッガー同様、ユニバーサルの案には反対していたようだ)、本作を作り上げている。製作当時、68歳という大ベテランだったにもかかわらず、会社の要請に合わせて、希望通りの作品に仕上げてしまう、フライシャー監督のその老練で謙虚な職人ぶりは、流石と言わざるを得ない。徹底した作風の変更(前作の音楽を担当したバジル・ポールドゥリスの音楽も、ファンタジー向けの軽快で快活なものになっている)は、鮮やかとさえ言えるほどだ。
ただ、手堅くまとまっていて、無心に楽しめる好ましい一編ながら(何と、撮影には、名匠ジャック・カーディフを迎えている!)、それでも、平均的なファンタジー以上に突出した印象はなく、極端なことを言うと、本作の2年前に、より少ない予算で作られたB級ファンタジー作品『ミラクルマスター 七つの大冒険』と質的にはほとんど変わらないほど。フライシャー監督ならではの演出の切れ味というものも感じられない。また、サル人間(『上海から来た女』や『燃えよドラゴン』の二番煎じとはいえ、鏡張りの部屋でのコナンとの一騎打ちは、視覚的に面白い)やカルロ・ランバルディの造形によるダゴスなどが登場するVFX場面も、1980年代半ばの作品ということを考慮しても、少しばかり、古臭く、拙劣。全体的に、フライシャー監督が、演出で大きな冒険をしていないということに、やはり、枯淡というよりは、老いを感じてしまうのだ。
前作に引き続いてのコナン役シュワルツェネッガーは、天下無双という感じの圧倒的な肉体美を見せつけて(彼の肉体を惜しげもなくさらすというのは、フライシャー監督が、最初から決めていた演出でもあったそうだ)、それだけで映画の見世物としては素晴らしいのだが、加えて、彼に負けず劣らず異彩を放っているのが、女戦士ズーラを演じるグレイス・ジョーンズ。高身長で、スラリと長い手足を生かして(フンドシ風の衣装で臀部を露わにしている)、棒を振り回して暴れ回る姿が、勇ましく、美しい。
本DVDは、丁寧にレストアされたようで、キズもなく、きれいな発色で、ディテール表現も細やかな画質。5.1ch サラウンドの音声も、バランス良く、明瞭。
特典には、以下のものが収録。
●リチャード・フライシャー監督によるコメンタリー
●フォト・ギャラリー(撮影風景、"コナン"コミックブック・ギャラリー)
●メイキング・ドキュメンタリー
1)"コナン"のテーマ音楽/ベイジル・ポールドゥリス(17分59秒)
2)コナン:コミックから生まれた伝説の英雄(14分42秒)
●オリジナル劇場予告編(1分31秒)
1930年代に、ロバート・E・ハワードが『英雄コナン』シリーズで創作したキャラクター、コナンを主人公にした映画化第2弾。前作のジョン・ミリアス監督による硬質の西洋サムライ作品とはうって変わり、リチャード・フライシャー監督は、純粋なファンタジー・アドヴェンチャー作品にしている。フライシャー監督は、翌年には、同じくロバート・E・ハワードが創作したキャラクターを主人公にした姉妹編『レッドソニア』も作っている。日本劇場公開は、1984年8月11日。
形の上では、コナンを主人公しているから続編であることは間違いないのだが、前作からの続きというよりは、完全に独立した作品と捉えるべきだろう。実際、配給のユニバーサルは、『E.T.』で一儲けした後だったこともあって、前作の重厚な復讐譚から家族向けのファンタジーへと路線変更することにし、フライシャー監督も、前作のことなど全く気にしていないかのように(もっとも、当初は、シュワルツェネッガー同様、ユニバーサルの案には反対していたようだ)、本作を作り上げている。製作当時、68歳という大ベテランだったにもかかわらず、会社の要請に合わせて、希望通りの作品に仕上げてしまう、フライシャー監督のその老練で謙虚な職人ぶりは、流石と言わざるを得ない。徹底した作風の変更(前作の音楽を担当したバジル・ポールドゥリスの音楽も、ファンタジー向けの軽快で快活なものになっている)は、鮮やかとさえ言えるほどだ。
ただ、手堅くまとまっていて、無心に楽しめる好ましい一編ながら(何と、撮影には、名匠ジャック・カーディフを迎えている!)、それでも、平均的なファンタジー以上に突出した印象はなく、極端なことを言うと、本作の2年前に、より少ない予算で作られたB級ファンタジー作品『ミラクルマスター 七つの大冒険』と質的にはほとんど変わらないほど。フライシャー監督ならではの演出の切れ味というものも感じられない。また、サル人間(『上海から来た女』や『燃えよドラゴン』の二番煎じとはいえ、鏡張りの部屋でのコナンとの一騎打ちは、視覚的に面白い)やカルロ・ランバルディの造形によるダゴスなどが登場するVFX場面も、1980年代半ばの作品ということを考慮しても、少しばかり、古臭く、拙劣。全体的に、フライシャー監督が、演出で大きな冒険をしていないということに、やはり、枯淡というよりは、老いを感じてしまうのだ。
前作に引き続いてのコナン役シュワルツェネッガーは、天下無双という感じの圧倒的な肉体美を見せつけて(彼の肉体を惜しげもなくさらすというのは、フライシャー監督が、最初から決めていた演出でもあったそうだ)、それだけで映画の見世物としては素晴らしいのだが、加えて、彼に負けず劣らず異彩を放っているのが、女戦士ズーラを演じるグレイス・ジョーンズ。高身長で、スラリと長い手足を生かして(フンドシ風の衣装で臀部を露わにしている)、棒を振り回して暴れ回る姿が、勇ましく、美しい。
本DVDは、丁寧にレストアされたようで、キズもなく、きれいな発色で、ディテール表現も細やかな画質。5.1ch サラウンドの音声も、バランス良く、明瞭。
特典には、以下のものが収録。
●リチャード・フライシャー監督によるコメンタリー
●フォト・ギャラリー(撮影風景、"コナン"コミックブック・ギャラリー)
●メイキング・ドキュメンタリー
1)"コナン"のテーマ音楽/ベイジル・ポールドゥリス(17分59秒)
2)コナン:コミックから生まれた伝説の英雄(14分42秒)
●オリジナル劇場予告編(1分31秒)