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TUGUMI(つぐみ) (中公文庫)

吉本 ばなな
おすすめ度:★★★★★
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手元にある本は3冊目です
おすすめ度 ★★★★★

吉本ばななの出世作

すでに20年近く前になる本なのですね。
この小説は1989年にマリクレールという雑誌で連載されたものを
単行本化、文庫本化したものです。単行本化した際に
山本容子の素敵な装画がとてもすばらしい本です。
ぜひ単行本を探して手に取ってください。

内容は他のレビューと同様なので割愛させてもらいますが
女性の輝いている一瞬をとらえた小説として、貸したら
そのままはまってしまい帰ってこない本の一冊です。

携帯電話の出ない少し古めの内容ですが、今でも
楽しく読める小説です。とてもお勧めです



きれいな小説だな、と思いました。
おすすめ度 ★★★★★

この小説は、何をとってもきれいだな、と読み終えて感じています。
3人の女性の生き方や、本当に日常的で、でもちょっと貴重な思い出、
夜や、町の香りの描写、一つ一つがキラキラと輝いて心に残りました。

主人公の大学生まりあは、母親とともに居候し、子ども時代、青春時代を
過ごした従姉妹の陽子・つぐみが暮らす伊豆の旅館に帰省します。

大学生になったまりあの物語と、一つ一つ思い出すように語られる小さい
ころの話が、絶妙にブレンドされていて、きれいです。
特に、好きなテレビの最終回が終わってしまった夜、眠れなくて
3人が同じように外に出て、散歩する描写は、
その思い出も、その描写も本当にきれいで、このシーンは大好きです。
読むたび読むたび、自分のことも思い出されて、
本当にささいなエピソードが散りばめられていて、ステキです。

3人の主人公が三様に美しく生きる女性として描かれ、
その背景の、まさに情景と呼ぶにふさわしい、
想像力をかきたてられる精緻な描写がそれを引き立てています。

最後のくだりもすばらしかったです。ぜひ、手許において、
何度も読み直したい、小説です。

完成度の高さ、という点では群を抜いていますし、
天才的な描写の美しさでありながら身近さな視点でもあって、
読者と同じ視点で書いている、という感じにも魅かれました。



魅力的な主人公・つぐみ
おすすめ度 ★★★★★

病弱な美少女つぐみと、従姉妹のまりあの、ふるさとでの最後のひと夏を描いた物語。

つぐみは、乱暴な言葉遣いで、これでもかという位、性格が悪い。つぐみがまりあを怒らせた「おばけのポスト事件」、街に引っ越してきた青年との初恋、不良への復讐など、ぞっとするような行動をとるつぐみだが、そこにはいつも、彼女なりの優しさや、純粋さが表れている。物語の一番の魅力は、この「つぐみ」自身だろう。

また、つぐみとまりあが育った場所は、この夏を最後になくなってしまう。(つぐみも、まりあもこの場所を去るため)
この物語に出てくる誰もが、「もう二度とこの場所には戻れない」と分かっている。

子供から大人への移り変わり、このどこか物寂しい雰囲気が、物語をさらに彩る。




おすすめ度 ★★★★☆

吉本ばななさんの小説を、初めて読みました。
エッセイの、ぶっ飛んだ感じとは違って、
キレイな読後感に、少し驚いてます。


病弱で、わがまま放題の美少女’つぐみ’との旅館での出来事が
まるで自分が経験しているかのように、身近に感じられます。

そして、人と人との繋がりって、あったかいなーとか、
人間って、残酷だ。。。と思ったりしました。

 
おもしろい本だった。




海がみたい
おすすめ度 ★★★★☆

友達にすすめられてこの本を手にとりました。吉本ばななさんをはじめて読んだのは『白河夜船』だったので、大人しめの純文学ではなく、こんなにいたずらで、清清しい、物語主導のものも書いているんだと少しびっくり。知らなかった自分が悔やまれます。

読んでいる最中に、無性に、ありもしない自分の海で過ごした郷愁みたいなものを掻きたてられます。私は、幼少時代を海で過ごしたわけじゃないけど、この作品を読むと、学校や親や未熟な恋なんかに支えられ、保護されていた時代の、自分の透き通るようなあの、何といえばいいかわからない寂しさやワクワクや友情や愛情が、よみがえってくるような気がします。
例えば放課後の学校の校庭でブランコをこいで友達と語り合ったことや、はじめて男の子と手をつないだり、夏祭りに出かけた時のことが、つぐみとまりあ、恭一、陽子という登場人物を追うことで、なんだか切実に思い出されてくるのです。

そしてその頃に対する気持ちは、まりあが語る静かな口調に、実に絶妙に表現されていて、ぞくっとしてしまう。

かけがえのない、二度と取り戻せない、本当にはかない煌く瞬間を、吉本ばななさんという人は、それはそれは丁寧に書く人だ、と思いました。
読んだ直後、本当に涼やかな気持ちになって、青春の思い出がひとつ増えたような感覚がしました。そして同時に、海が見たい、海に潜りたい、そう強く思わせる傑作でした。


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