娘に「ママはかっちゃんのお母さんに似ている!」と言われ、私は娘から見てこう見えていたのかな?といろんな意味で反省させられながらも、母ってやはり子どもに対する思いは同じなんだって改めて思いました。確かにわからない子に手を挙げてしまう、なんとかしたい思いなんです。でもこれだけでは伝わらない?それを教えてもらったのがこの本です。
こころに残る永遠のベストシーンおすすめ度
★★★★★
今年3月に読んだのに、本書のこのシーンを思い出すたびに感動し、
「伝えるということ、学ぶということ」に謙虚でありたいと思うのでした。
森田先生は指を二本たてて「1+1」は、かっちゃんにたずねた。
かっちゃんは「わからなかった、もうだめだ」と内心思った。
瞬間、家で兄が指差した柱時計を思い出した「11」。
森田先生は「11」と答えた原因・理由を考えようとした。
「1と1の上下に横棒線をひけばローマ数字の2だ」
森田先生の感動した目にかっちゃんは不思議な気持ちがした。
この瞬間ひとコマひとコマの森田先生の目、言葉、動きを伝えたく、
2007年(H19)4月、本書を四男の就職祝いに贈らせていただきました。
ペルー帰りの先生が少年を変えた/特殊学級のかっちゃんの成長物語おすすめ度
★★★★★
■主人公は西川司(つかさ)という少年。「かっちゃん」と呼ばれている。元々頭は悪くないのに、彼は勉強がまるで出来なかった。自分で納得できないと、それ以上進む必要はないと勝手に結論付けてしまうのだ。例えば漢数字で、一、二、三の次が四になることが(形状の面で)納得できず、勉強をやめてしまう。それより特殊学級ひまわり組の素朴な心を持った生徒達と遊ぶことを選ぶ。彼は独特の頑固な信念を持っているのだ■5年になる時の春休み、父の転勤で彼は転校することになった。成績の悪いかっちゃんは、新しい学校で受け入れられない場合は養護学校に行かねばならない。とりあえず小学校で面接を受けるかっちゃん。そこで出会ったペルー帰りの森田勉先生が、奇跡の教師だった。かっちゃんの信念を見抜き、納得いく形で文字や算数を教えるのだ。春休みの間にかっちゃんはグングン伸びてゆく■そして、5年6年と、かっちゃんは森田先生から勉強の本質と大切さを学び、とうとう卒業時にはオール5の成績で、卒業生代表の答辞を読むことになるのだ。このシーンで読者は感涙必至。書評子も泣いた■著者は放送作家で、これは実話なのである(!)。「あとがき」に、既に他界された森田先生への謝辞が書かれ、これにも涙がこぼれた。
奇跡の人。
おすすめ度 ★★★★★
最後の20ページくらい、マジでやばかったです。泣けてしょうがなかった。
よくある話なんです、プロットは(というか自伝ですから小説じゃないんですが)。読み書きも満足に出来ず特殊学級にいた主人公が、一人の「熱い」教師と出会って学ぶことの楽しさを知り、やればできる・諦めてはいけない、の一心で卒業式総代にまでなる。こう書くと確かに凄いけど・・・そこまで「響く」?と思われるかもしれません。
運命の師に出会う迄の惨めさと出会いの後の「開眼」のコントラスト。「教える」「師」という「上からの視点」を全く感じさせない運命の師。主人公かっちゃんにひらがなや足し算を教える下りから実は読んでるこちらも熱いものがこみ上げてきました・・・。「圧倒的な」生徒を思う愛情・情熱。劣勢の徒競走で体を張って頑張りぬくことの大切さを教える師。そういう強さを持つ反面、自らの悩む姿を生徒の前で隠さずさらけ出す師。醸成される師弟の一体感。後半を読み進めるうちに自分の中のシニカルな部分がジワジワと破壊されるのを感じ、そしてラストの卒業式。
答辞を読むかっちゃん。特殊学級に入る必要があると聞いて泣き崩れた母が今度は答辞を読むかっちゃんを見て泣いている。そして予め用意された原稿を捨てて「自分の言葉」で語りだすかっちゃん。あ〜、こうして書いてる間にまたジワーとキてしまいそう。現代に甦る「奇跡の人」。絶賛。絶対読みましょう。