十二単衣を着た悪魔
帯に引かれて、初めて内舘さんの本を読みました。
何と現代のフリーター(22歳男性)が源氏物語の世界にトリップして、
副読本片手に有能な陰陽師として弘徽殿女御に仕える…なんて面白そうな話…!と
興奮して読み始めたのですが、今ひとつのめり込むに至りませんでした…。
源氏物語は「あさきゆめみし」を読んだ程度だったのですが、
憎まれ役の弘徽殿女御に先駆的な女性像として目をつけたのは非常に面白い視点だなぁと思いました。
所々で出てくる現代の日本(特に若者?)に対する批判的な描写が少々くどかったです…。
最終的にトリップした先で嫁ももらいうけ、穏やかな生活を送るに至った主人公ですが、
辛い別れも経験して、トリップものにはよくある展開を辿り結末に至ります。
話の流れの中に源氏物語未読の方の為?とは思われますが、各巻の場面やストーリーについて主人公視点から説明的に語られるのが辛いところでした…。
ここまでのめり込めなかった理由としては、この作品の「トリップ」という部分にファンタジーを求めてしまった私が悪いのだと思います!!
現代の若者への叱咤激励作品なのか…
ファンタジー小説好きな私には主軸がよくわからない作品でしたが、
源氏物語好きの方は1度読んでみてもよいかと思います。
NHK大河ドラマ 毛利元就 完全版 DVD-BOX 第壱集
毛利元就は、歴史気にはマイナーでしたが、この作品で一気にメジャーになりました。徳川幕府ができた頃、知将として名を馳せた吉川元春と小早川隆景。毛利家との関係が、このドラマで知ることができました。また、戦国時代中国地方の覇者だった大内家の滅亡と尼子家の独特な家風。厳島合戦を通して、変わっていく中国地方の動きがよくわかりました。
元就・中村橋之助は、やはり歌舞伎的ですね。しかし、毛利家をまとめた威風を感じる事ができます。息子役の若い俳優に交じって、若い中村のセリフが重く感じられます。天下を目指した守護と地方の戦国史を学ぶことができるドラマです。
夢を叶える夢を見た (幻冬舎文庫)
世の中で現状に満足できずに夢を抱えて生きている人々を「飛んだ人」と「飛ばなかった人」に分け、つまり「現状を抜け出して本当に自分がやりたかったことを追求した人」と「夢を抱えながらも、現在の職が保証してくれる生活を捨てきれずに結局そのまま生きた人」に分け、両者において成功した人としなかった人について順に書いている。
面白かった理由はいくつかある。一つは、膨大な数の人に直接会って話を聞いた上で書かれている点。二つ目は―そこから必然的に出てくるものであるが―軽々しく結論づけることなく、各々の人間が持つ個別的で複雑な事情を大切に扱っている点。おそらくこれは、人間にまつわる曖昧な「灰色領域」を描写する際に文学が最も必要とする立場であるように思う。だからこそ、「やらないで後悔するよりも、やって後悔するほうがいい」という人口に膾炙するセリフにも、時に疑問を呈してみせることができるのである。また、インタビューをされている人たち全てが非常に魅力的に描かれているのは、個々の例を己だけの善悪の基準で裁くことを著者が拒絶しているからだろう。