アインダ~リスボン・ストーリー 映画「リスボン物語」サウンドトラック
ポルトガルと言えばファド、ファドと言えばアマリア・ロドリゲスが有名だが、よく知らないし、好きな方ではない(唯一 Alfred Marceneiro だけは例外なのだが)。また、伝統音楽の範疇だろう。最近のポルトガルものを知りたかったので、手始めに話題に上ることが多いこのグループのものを入手してみた。
ベースとなる旋律はファドのようだが、少なくとも伝統的ファドの様な感じはまったくしない。楽器はアコーディオンとギターなどのアコーティックが主体であり、キーボードは主に背景音を担当する。ドラムスは無い。
絶え間なく織り重なる伴奏にのせて テレーザ・サルゲイロ ( Teresa Salgueiro )がしっとりと透き通る様な声で歌い上げる。ゆったりと流れる様な独特のサウンドが特徴だ。タンゴの様なテンポが感じられるものも何曲かある。それでも、ビートの利いたロックの様なサウンドとは対極にあると言えよう。特にアコーディオンはこのサウンドに大きく寄与している。
テレーザの声はとても美しく、郷愁と哀愁と侘び寂びがごっちゃになった様な言葉では言い尽くせない、独特の感情が感じられる。これを聴いて心を打たれない人は居ないのではとすら思える。
特に Ainda と Milagre ~ Viagens Interditas は感動的だ。
今まで味わったことが無い感覚を得た。
クラシックの殿堂
静かな曲、激しい曲、有名な曲、無名の曲、それぞれが何の脈絡もなく2枚のディスクに盛り込まれています。38曲も入っていれば当然知らない曲が幾つかあるので、添付された曲ごとの簡単な解説本が役に立ちます。
クラシック音楽の「よく聞く部分」だけを楽しみたい人には適していると思います。
目当ての曲を聴くために購入したら、別の曲が気に入る、というオムニバスのいいところを堪能できるはずです。
リスボン物語 (ユニバーサル・セレクション第3弾) 【初回生産限定】 [DVD]
ヴェンダースというと「ベルリン天使の詩」とか「パリ・テキサス」あたりが有名だけど、それよりもっとヴェンダースらしい作品のような気がします。「アメリカの友人」とかが好きな人には向いているかも。もちろんリスボンの町並みもすてきなんだけど、オープニングからまさにロードムービーの雰囲気。マドレデウスの曲もすてきでした。「ことの次第」ほどマニアックではなく、もっとゆったりと楽しめる感じ。わざわざ単発で売られていたのも納得です。ただし、もちろん、スリリングなアクションとか盛り上がりとかはないです。
余談ですが、他の作品同様、なんだかいろいろと細かいところに細工がしてあるのに気がつきます。主人公が音響技師なので自分でマイクを持って歩いていますが、これがなにげない設定なんだけど、よく注意して聞いてみると面白いですヨ。エンドクレジットまで遊び心満点で、またいつものように繰り返し見てしまいました。
ゆっくり楽しんでくださいネ。
リスボンの小さな死〈下〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
裏切りや復讐が物語りの軸となるので、やや暗い感じは否めませんが、非常に重みがり、読み応えのある 作品です。50年の長きにわたる物語ですが一気に結末までひっぱられ、さまざまな伏線が慎重に張られ ていたことに驚きをもって気づかされます。
リスボンの小さな死〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
第二次大戦が始まった頃,ドイツの連結器製造会社を経営するフェルゼンは,ナチ親衛隊の名誉隊員にされ,ポルトガル語に堪能なために,戦争遂行に不可欠なタングステンの買い付けのためにポルトガルに派遣される。フェルゼンが荒っぽい手段でタングステンを集めてドイツ送りながら,次第にポルトガルに深く関わっていくという話と,現代のリスボンの女子高校生殺害事件のコエーリョ警部による捜査の過程が同時に語られていく。前者は三人称,後者は一人称である。ポルトガルの現代史と何重もに絡まりあった復讐,それに繰り返される裏切りを柱にしている。コエーリョ警部は,着実に捜査を進めていき,犯人を捕らえる。しかしながらそう簡単には決着はつかない。現代の事件が,過去の長い影を引きずっている!というタイプで,大きな流れから細部まで注意が行き届き,入念に構成されたよくできたミステリである。