ブラームス: ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77 (Brahms : Violin Concerto Op.77 / Ginette Neveu) [輸入盤]
ハンス・シュミット=イッセルシュテットの伴奏の盤石さの上で変幻自在の独奏を聴かせるジネット・ヌヴーのヴァイオリン演奏に惚れこむ人は多い。
レコードであるにもかかわらず、再生すると、今この瞬間音楽が生まれ出ているような感覚が味わえるからだろう。
モノラル音質の純朴さが、ブラームスの音楽から想像されるパーソナリティーと重なることもあって、この演奏はしばしば、この曲の理想の体現として今なお称賛される。その純朴な音質をほぼ無添加な形で提供してくれるのはフランスのSTIL盤であった。ACANTAからかつて発売されていたCDは、高音を強調し、音場感を演出する特徴的な音だったが、この復刻再発売では、高音強調の癖が幾分弱められている。ただ、ステレオっぽい音の演出は依然として残っている。スッピンに近いSTIL盤のほうが好ましいが、それを含め、各社のリマスター盤が入手困難な現在の状況では、このCDしか選択肢がない。