タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫SF)
誰もがタネを知っているような、シンプルな手品を、わざわざこれから起こる不思議を宣言したうえで披露し、それでも観客を感動させることができる者が、本当にすばらしい手品師なのではないかと思います。
そういう類のパフォーマンスは、何度みても心を動かされるものではないでしょうか。
この小説を読み終えたとき、そんなステージを見終えたような、拍手を送りたいような気持ちになりました。
奥さまは社長―爆笑問題・太田光と私 (文春文庫)
爆笑問題太田光の妻で、タイタンの社長である光代さんのエッセイ。
田中裕二と、太田光各々との対談もあり、楽しめました。
光代さんと光さん二人の世界は、とても危うくて魅力的です。
夢物語を聞いているような、美醜悪がてんこもり。
不思議な浮遊感があって、一気に読んでしまいました。
光代さんから見た田中裕二の描写は秀逸です!
絵本マボロシの鳥
なんといっても影絵がすばらしい。
(もちろんストーリーも良いが)
絵が、内側から光を発している。(影絵だから当然かも)
何か、良い芸人が光を発するという話とつながっているようにも思える。
劇場やバーの風景は西欧風だけど、ちょうちんがぶら下がっていたり、
芸人がハッピを着ていたり、和風の要素がとけ込んでいる。
無国籍で時代もなにもよくわからない不思議な世界。
なによりも、カラフルで、ほんとうに絵が光って見える。
絵本から感じる内容は人それぞれだろうけれど、
大人も十分に楽しめ、考えさせられる一冊。
ベストセラーだけのことはある。
アイス・エイジ 特別編 [DVD]
TVで予告編をやっていたときはちっとも心が動かなかったのに、DVDをレンタルしてすっかりはまってしまいまいました。こんな事なら映画館で見ておけばよかった。CGの技術とかそんなものはどうでもいいです。とにかく物語重視で、笑いあり、涙ありの時間をすごさせてもらいました。子供も大人も楽しめる作品に仕上がっていると思います。そして辛い事があったなら、この作品をみて笑いとばしましょう。
ぼくらの☆ひかりクラブ 下[中学生篇]
退廃や耽美の世界ではいらない子なはずの青春少年タミヤを主人公として成立させちゃう技量に感服。
前作ではゼラの狂気を引き立てる為とか常識の代理として
「普通の良い子」を描いたのかなと思っていたのですが
もちろんその役割は重要だとして、
起きた出来事に対して人間的な反応をするタミヤのお陰で混沌とした物語に筋が通り、
ガロ系と呼ばれる作家が陥りがちな「奇妙なだけ、勢いだけの作品」から逸脱した傑作になってると感じました。
耽美、退廃、猟奇、社会、恋愛、友情、
哲学、青春、笑い、SF、BL…等々
これだけたくさんの要素をひとつの作品に込めて破綻させないって凄い。
映画、小説業界含めてもなかなかいない、本物の天才だと思います。