グッバイ、レーニン! [DVD]
やさしい嘘というのはいつも感動する。
レーニン像が空輸されるシーンは印象的で、美しかった。
フェリーニの甘い生活にあんなシーンがありました。
それでもなお騙し続ける根性に感心したし、
実家のお母さんを思い出しました。
サルバドールの朝 [DVD]
金を稼ぐという実に不順な動機でジャーナリスト・ボブ(ジェームズ・ウッズ)が友人を誘ってエル・サルバドルに入国。その彼の目に映った凄惨な現実。あくまでも金のためにカメラを構える彼だったが、キャサディが遺したフィルムを手にして、自分がなすべき事柄に目覚める。恋人マリアの家族ともどもアメリカへ帰ろうとするが国境で・・・。彼は自分の考えがいかに甘いものであったか思い知ると共に、エル・サルバドル政府への怒りと無力な自分に憤る。
主人公の胸の内が徐々に変わっていく過程が手にとるようにわかる。自分の無力を思い知ることとなった結末、観る者も彼と共に、どうにもならない権力に屈することとなる。
遠い異国の地の出来事として、捨てては置けない重いテーマが心に残る。さすがオリバー・ストーン。我々観る者一人一人に宿題が突きつけられたような気がする。考えることがいっぱい。中身の重さと値段の安さがつりあわない。
グッバイ、レーニン! (竹書房文庫)
本国ドイツで2003年に公開され、600万人を超える観客を動員した映画の原作本。主人公アレクサンダー・ケルナーの父が単独で西ドイツに亡命して以来、母クリスティアーネはその反動で東ドイツ社会主義の模範生となっていた。1989年反社会主義デモに参加した息子(21歳)を見て、母は心臓発作を起こし、彼女が8ヶ月の昏睡状態から覚めたとき、すでにベルリンの壁は崩壊していた。「今度ショックを与えたら命取りになる」という医者の言葉を聞き、アレクサンダーは母を退院させ、自宅を「この国に残された社会主義の最後の砦」に変え、姉アリアネ一家・恋人ララ(ロシア人)・友人デニス(西ドイツ人)たちと共に、母を社会の激動から隔離するための無謀な試みに苦心する。彼らの努力を通じて、逆説的に東ドイツ市民の日常生活の細部にわたる資本主義の急激な浸透があぶり出される。また、恋愛や友人関係を通じて、下からの国境の溶解も表現されている。ベルリンの壁の崩壊から西ドイツによる東ドイツ併合に至る1年を舞台に、家族の絆と友情を描いた感動作。予備知識なしでも読める。
「グッバイ、レーニン!」オリジナル・サウンドトラック(CCCD)
それは、ヤン・ティルセンの新譜ということで気になってはいたけれどまだ手にしていない時。私は某テレビ番組のBGMにくぎ付けになりました。それは、一度も聴いたことのない曲で、しかも“楽器の演奏だけなのに”、確かにヤン・ティルセンの曲だと直感したのです。そしてすぐに買い求め、見事に的中してしまいました。
“この音は彼でしかあり得ない!”という音なのです…。
『アメリ』で有名になったヤン・ティルセンですが、あの面白く軽妙なアコーディオンの世界とは別に、彼にはとても深遠な感性があります。私はその深遠な感性の方こそ、彼の醍醐味、世界観だと思います。そしてこの作品は、その「深遠」な部分を十二分に見せてくれます。
ヤン・ティルセンは楽器を多様に操り、「一人でオーケストラを演じる男」とも称された人です。この作品の骨はピアノです。ピアノが繊細に大胆に流れてゆく中、その低音に混じりコントラバスが胸の底に響き、突然破裂音のようなトランペットが静寂を切り裂きます。煽情されるようなはっとする音です。それからこもったオーボエやクラリネット等の管楽器も、霧がかったドイツ的なムードを演出します。
でも決して暗くはありません。言うなれば、「一面の霧か靄に一条の光が射す…」といった感じです。悔い改まりたくなるような、心が洗浄されるような音楽です。
最近方々の番組のBGMで聴かれるヤン・ティルセンですが、これは、ステレオの前かヘッドホンで、聴き入るべき音楽だと思います!ただのサントラでは終わりませんよ!