アン・ルイス Best Selection
8、9、11、12
ここらへんがオススメですが、他の曲もいい曲ですね。
しかしこれはあまり学生が聴くものではないような…
まぁ、幼少の頃より聴いてきた私には関係ありませんがね。
美人薄命、そういうもの です。
男はソレを我慢できない デラックス版 [DVD]
テンポがよく、独自の世界に引き込まれた。
人間心理のツボをつく笑いが多く、役者の芝居のうまさに何度も笑わせてもらった。
地味な演技と誇張した演技の使い分けが見事である。この緩急が笑いを生み出してくれた。
漫画チックな画面の作り方もうまい。
下ネタのオンパレードみたいな映画のはずだが、なぜか観た後、せいせいとする、そんな面白みがある。万人受けはしないと思うが、こういう作品もあっていいんではないか、と思う。ちなみにメッセージ性はあるようで、やはり何も無い。男がいい加減だということをひたすら描いた素晴らしい良作だ。
ライブテープ オリジナル・サウンド・トラック
2009年の元旦、吉祥寺にて武蔵野八幡宮から井の頭公園まで前野健太が歌い歩く様を1カット74分で撮った映画『ライブテープ』。『童貞。をプロデュース』(2007年)や『あんにょん由美香 [DVD]』(2009年)等の松江哲明監督の最新作であると同時に、その撮影方法の独自性、さらには第22回東京国際映画祭にて「日本映画・ある視点」部門作品賞を受賞ということで様々な注目を集めた。
このアルバムは、『ロマンスカー』(2007年)、『さみしいだけ』(2009年)に続く、前野健太のフルアルバムとしては三枚目。そして、ライブ盤かつサウンド・トラックでもある。
前置きはこれくらいにして、アルバムの内容へ。注意をしておくが、映画を見ていない方はこれを読まないほうがいいかもしれない。そして、私としてはなるべく映画を見た後にこのサウンド・トラックを聴いてほしい。また、前野さんと松江監督の意図を汲むならば、監督主導の映画と前野さん主導の本盤は少し違うものであることも頭の片隅に据えてほしい。
アルバムは雑踏のノイズから始まる。話し声、子供の泣き声、足音、車の走り去る音、様々なノイズ。しばらくすると誰かが「あんまり神頼みしすぎると逆に効果が落ちる」と言う声まで聞こえてくる。数秒後にギターをかき鳴らす音。「失楽園でぬいてた18の夏/奥日光高原ホテルの寮の部屋で」と力強くも優しい歌声の持ち主、前野健太は<18の夏>を歌いだす。
続く<豆腐>。「仕事場の近くでの川沿いで/ばったり会った猫ちゃんは/全然豆腐っぽくなくてかっこよかったよ」と怒ったように歌い放つ部分が私は好きだ。「夢をいくつもかかえて〜そういうことではないでしょ」という詞と「夢をいくつか放り投げて〜そういうことかもしれないね」という詞のコントラストや、「気付かないふりをしている」という諦念の吐露が見事な曲だ。
<こころに脂肪がついちゃった>を歌い終えると、映画中の彼はバウスシアターへと辿り着く。しかし、このサントラ盤を聴いているだけの私たちはそれを見ることができない。しかし、歌声・ギターの音・ノイズ全てを包括した音、すなわち”曲”と一対一で対峙することになる。そうすることで、映像に限定されない”曲”の喚起する雑多なイメージが浮かび上がる。それこそ本盤の意義なのではないだろうか。
<100年後>を歌い、松江監督が声をかける。ふっかけられた前野さんは<生きている私>を歌い、怒りを込めるように<こころに脂肪がついちゃった>を叫び散らす。
「ちんぽみたいな大きなマンション/お前あそこに住みたいか/住みたいわ」という詞が印象的な<マン・ション>、そして<このからだ>と続く。映画中では、「映画の音楽にするために」はっきりとわかるエフェクトが録音の山本タカアキさんによってかけられていたこの二曲だが、本盤では前野さん本人によってそれが取り払われ、私たちの目の前に曲をさらけだす。
本サウンド・トラック(ともちろん映画『ライブテープ』でも)出色の演奏は、二胡奏者である吉田悠樹さんとの<ロマンスカー>と<友達じゃがまんできない>だろう。特に<友達じゃがまんできない>での「私の楽しい思い出全部燃やすから」の絶唱はすさまじい。必聴。
もちろん状況説明は不要というか余計かもしれないが、ハーモニカ横丁を抜け出た前野さんは、力のぬけた<メッセージ>を歌い、吉祥寺の駅をくぐりぬけた先でサックスのあだち麗三郎さんと落ち合う。ここで<ダンス>。
松江監督の「前野さーん!そこで<sad song>!」という叫びがかすかに聞こえた後、間髪いれずに<sad song>。そして<青い部屋>。
ついに前野さんは井の頭公園まで辿り着く。ステージに集ったドラムのPOP鈴木さん、ベースの大久保日向さん、先の吉田さんとあだちさん。前野さんは「じゃあ、<天気予報>」と、エレキギターを鳴らし始める。これは、もう最高の曲に最高の演奏でしょう。特に、ライブでも常に素晴らしいPOP鈴木さんのドラムがかっこいい。「愛が勇気に変わって/ぼくは生きていかなきゃね」。絶唱とノイズまみれのギターにふるえる。映画を観た際の感想になってしまうのだが、私は<天気予報>を聴いたとき、単純に「あ、死にたくねえな」とふと思った。そして「俺にも何か出来ることがあるんじゃないのか?」と(陳腐な言い様だが)勇気をもらった。
アルバムはアコースティックギター一本での<東京の空>で締めくくられる。映画では聞くことはできない、松江監督の「オッケー!」という声と拍手が聞こえ、前野さんが「終わりっ」と言ったところで唐突にアルバムは終わる。
映画『ライブテープ』は、前野さんが生んだ歌たちを街という空間へ”帰す”過程のドキュメントであった見ることもできる。そうすると、映画から視覚情報や装飾をとっぱらったこのアルバムは、歌たちを街のノイズへと溶け込ませ、新たな”曲”を生み出す過程の(サウンドスケープ的な)記録だろう。このような街頭ゲリラ・ライブ盤などかつてあっただろうか。
映画『ライブテープ』は、奇跡的なシーンと様々なダメな部分とを全て含めて素晴らしかった。映画を見た後に、先に述べたようなノイズまで含めた全ての「音」を飲み込んだ前野健太の「曲」たちと対峙するためにこのサウンド・トラックを聴いてほしい。残念な点は、映画にあった前野さんと松江監督の対話の大部分がカットされてしまっていることだ。サウンド・トラックは曲だけを収録するのが当然だと思われるかもしれないが、私はあの映画からあふれる音の全てが音楽だと感じたので、完全なる「サウンド・トラック=録音帯」としては中途半端に思ってしまう。
しかし、それを差し引いても全くもって素晴らしい”曲”たちだ。アルバムは映画と別物だと言っても、持つ感想は同じだった。ここに私がつらつら述べた御託などどうでもいい。生きていかなきゃ、ね。
2010年2月1日現在、東京で『ライブテープ』が上映されているのは渋谷シアターN(レイトショー)のみで、2月12日まで。未見の方は急げ!