映画「利休にたずねよ」の宣伝トラック
渋谷を走行する、直木賞を受賞した山本兼一の小説を実写化した、主演・市川海老蔵 映画「利休にたずねよ」の宣伝トラック。
花鳥の夢 (文春文庫)
狩野派の3世にして不世出の絵師、狩野永徳の物語。
長編ではあるが読みやすく、また激動の時代を背景に、きわめてドラマチックでもある。無難な歴史小説として、誰にでもお勧めできるものである。
ただ、
自由な芸術家、というような概念のない時代のことゆえ、御曹司というだけではない、もっと激烈な人生哲学のようなものがあったのではないか、あるいは人格的な問題もあるような奇想の人だったのではないか、というような想像が、美術ファンからも歴史小説ファンからも出てきそうな、手堅さゆえの贅沢な不満を感じたという点。
それと、等伯とその妻の造形が、ちょっと判官贔屓というか出来過ぎではないか、という点と、この二つをもって星を一つ減じた。
素材は美術関係の研究が行き届いており、書き手の心も踊ったことだろうと思う。名手であるがゆえの厳しい採点ということでお許し願いたい。
長編ではあるが読みやすく、また激動の時代を背景に、きわめてドラマチックでもある。無難な歴史小説として、誰にでもお勧めできるものである。
ただ、
自由な芸術家、というような概念のない時代のことゆえ、御曹司というだけではない、もっと激烈な人生哲学のようなものがあったのではないか、あるいは人格的な問題もあるような奇想の人だったのではないか、というような想像が、美術ファンからも歴史小説ファンからも出てきそうな、手堅さゆえの贅沢な不満を感じたという点。
それと、等伯とその妻の造形が、ちょっと判官贔屓というか出来過ぎではないか、という点と、この二つをもって星を一つ減じた。
素材は美術関係の研究が行き届いており、書き手の心も踊ったことだろうと思う。名手であるがゆえの厳しい採点ということでお許し願いたい。
夢をまことに
単行本未収録の作品がない限り、これが最後の山本兼一。
内容は国友村の鉄砲鍛冶である一貫斎が「空気」の活用こそ夢をまことにする新技術であることに気が付き、人の役に立つ発明をしようと全身全霊で取り組む、という山本兼一オハコの職人モノ。
絶筆?である「修羅走る関ヶ原」はあまりにも作者の人生観を伝えようとして、それ以外をテンプレで書き上げてしまったが、本作は職人魂と人生観を上手くまとめており、安心して最後まで楽しめる。
ただ、個人的には「火天の城」「一心虎徹」に比べ評価は★1~1.5ほど下がってしまう。
それは一貫斎が西洋技術ですでに実用化されたもののコピー&改良に止まってしまったからだ。
大幅に科学技術が遅れていた日本において、西洋の工具、科学知識を使わずに、己の腕のみで完全コピーする。それだけでもとてつもない偉業だ。しかし火天や虎徹が、日本独自の技術を極めんとする物語であったのに対し、後追いをするしかなかった一貫斎。そこにどうしても読んでいて興奮の差を感じてしまうのだ。
内容は国友村の鉄砲鍛冶である一貫斎が「空気」の活用こそ夢をまことにする新技術であることに気が付き、人の役に立つ発明をしようと全身全霊で取り組む、という山本兼一オハコの職人モノ。
絶筆?である「修羅走る関ヶ原」はあまりにも作者の人生観を伝えようとして、それ以外をテンプレで書き上げてしまったが、本作は職人魂と人生観を上手くまとめており、安心して最後まで楽しめる。
ただ、個人的には「火天の城」「一心虎徹」に比べ評価は★1~1.5ほど下がってしまう。
それは一貫斎が西洋技術ですでに実用化されたもののコピー&改良に止まってしまったからだ。
大幅に科学技術が遅れていた日本において、西洋の工具、科学知識を使わずに、己の腕のみで完全コピーする。それだけでもとてつもない偉業だ。しかし火天や虎徹が、日本独自の技術を極めんとする物語であったのに対し、後追いをするしかなかった一貫斎。そこにどうしても読んでいて興奮の差を感じてしまうのだ。
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