本作品の主人公、アリソン・パーカー（クリスティナ・レインズ）は、コスモポリタン誌や、ピープル誌の表紙に掲載され、テレビCMにも頻繁に出演するほどの、
ファッション・モデルである。現在ニューヨーク在住。
同棲しているマイケル・ラーマン（クリス・サランドン）は腕利きの弁護士。
アリソンはマイケルに、そろそろ入籍しようと言い寄られているが、アリソン自身は逆に精神的自立のために、同棲生活を打ち切り、ひとり暮らしを考えている。

そんな折、ボルチモアの実家の母親から連絡があり、入院中の父親の容態が急変したという。
取るものも取りあえずボルチモアの実家に戻ったアリソンは、母親と共に父親の最期を看取る。父親…アリソンは2つのトラウマを抱えている。
ひとつ目のトラウマは、アリソンが少女時代、父親が、自室にふたりの女を連れ込んで、よろしくやっている場面を目撃し、衝動的に自らの命を絶とうとしたこと。
ふたつ目のトラウマは、かつて、マイケルには頑として離婚に応じようとしない妻がいて、修羅場が展開された挙句、マイケルの妻は謎の死を遂げ、衝撃のあまり、
アリソンは、またしても、衝動的に自らの命を絶とうとしていたのだ。

アリソンはマイケルとの別居を決断し、新居を求めて不動産屋巡りをするが、なかなか、いい物件に出会えない。そんな折、アリソンは絶好の物件に出会う。
しかし、予算的に、ちと厳しい。ところが、マンションの管理人（エヴァ・ガードナー）は、家賃を勉強すると言い、かくしてアリソンの新居が決定した。
だが、気になることがある。マンションの最上階から、窓際に年老いた神父（ジョン・キャラダイン）の姿が見える。新しい入居者を見詰めているのだろうか。
管理人は、あの神父さんは目が見えないから、気にする必要はないという。

アリソンがマンションに入居すると、早速ひとりの年配の男（バージェス・メレディス）がやってきて、アリソンを歓迎する。
そればかりか、最上階の神父を除く、マンションの入居者たちが、歓迎パーティを開いてくれた。
歓迎パーティの夜、アリソンは上階からの、人の足音で目を覚ました。
こんな夜中に誰が？翌日、管理人に苦情を伝えたアリソンは、管理人から思いもかけない返事を聴いた。
あのマンションに入居しているのは、アリソンと最上階の神父だけだという。驚くのはそれだけではない。
マイケルに昨日出会った人達の名前を告げ、彼が調査したところ、全員が、死刑囚で、とっくの昔に刑の執行が済んでいるというのだ。

もう何が何だか訳が分からなくなったアリソンは、何故自分だけが斯かる仕打ちに何度も何度も遭わねばならぬのか、と思い詰め、
この苦しみから、いとも簡単に逃げ出す方法…3度目の自害を検討し始めるのだった。
そんなアリソンを見守るように見詰める、ひとりの神父（アーサー・ケネディ）がいる。
彼の指にはイエス・キリストの十字架を象った指輪がはまっているのであった…。

本作品は、オカルト映画、ホラー映画というよりも、マイケルを探偵に見立てた本格ミステリ映画といった方が適切であると感じる。
筆者は本作品を最初に視聴したとき、驚愕の真相に開いた口が塞がらなかった。
本作品には、五体が満足でない方、普通の御面相でない方が、多々登場し、しかも、配役が「冥府の亡者ども」ときたもんだから、さあ大変。
本邦の劇場公開は1週間で強制終了させられ、本作品は闇から闇に葬られ、
「最初から何もなかった」ことにされましたとさ。

そんな訳ありの映画を闇の底から引っ張り上げ、DVD化したスティングレイの偉さが分かろうというものだ。文句なく5つ星評価大決定だ！
本作品がアマゾンで、普通にゲットできる日がやってこようとは、長生きはするもんじゃ。