オープニングから始まるこのストーリー、白いキャンバスに向かって何かを描いていくような、自由で縛られない生き生きとした展開が素晴らしい!緻密な完成度を目指して計算しつくすというよりも、肩の力が抜けて、この作品のテーマに素直に向かっている作り手側のストレートさが、抜けるようなこの作品を作ったのではないでしょうか。
個人的には前半の展開が特に好きで、登場人物の個性とそのとらわれない自由な発想や行動が、魅力の源なのではないでしょうか。明らかに主要な登場人物の個性はバラバラであるのですが、それぞれのキャラクターが鮮明に立っていて素敵です。
前半での山場では、レッシーが13人衆という一種の閉じた上級世界から決意を持って抜け新たな道を思い切って選ぶところが、爽快で思い切りストレートで、大変好きなところです。その描写もご存知の方は多いでしょうが、ひとつの見所で忘れられないシーンではないでしょうか。
込み入った計算をしすぎた細かく仕上げられた作品には感じられないこういった特徴的なストーリーがあるだけでなく、また、登場するヘビーメタルが最高です。あのヘビーメタルの機械じみたオイリーな匂いがしそうな構造や部分的に旧式の操作系と、外見のスマートさがアンバランスで独特の雰囲気です。
ロボットアニメ版「スターウォーズ」おすすめ度
★★★★★
このパート1はダバの旅立ち(1話)~反乱軍が勢力を拡大していくところ(30話)までを
収録していますが、田舎育ちの青年が旅に出て、反乱軍の戦士となって
いくところはあの名作映画「スターウォーズ」を彷彿させますが、
永野護氏がデザインした美しロボットがぶつかり合う戦闘シーンは
華麗でなおかつスピーディーですし、
エルガイム前半は敵味方問わずギャグシーンをやってくれますが
メカシーンに劣らず楽しませてくれます。
エルガイムはファイブスター物語を生み出す元となりましたが、
ファイブスター物語で永野護氏の名前を知った方に是非見ていただきたい
作品です。永野デザインのルーツがここにありますから。
Attractive!おすすめ度
★★★★★
出来不出来は激しいものの日本のロボット・アニメ界でリーディング・クリエイターとして活躍して来た富野由悠季さんの一連の作品群の中でも、最も魅力に溢れた作品の一つですね。物語の完成度は『機動戦士ガンダム』に及ぶべくもありませんが、視る者を魅きつける力は勝るとも劣らない。永野護さんのデザインによるキャラクターたちと美しいへヴィ・メタルの躍動が素晴らしい。
ダバ、アム、キャオ、レッシー、そしてリリスといったメイン・キャラクターたちはもちろん、ギャブレット・ギャブレーやネイ・モーハンといった脇役たちをしても語られる台詞の数々はいつもながら見事。それは一人一人がそれぞれの人生の主役である事を描き出して鮮やかです。取るに足りない端役である筈のハッシャモッシャや、典型的憎まれ役である筈のリーリィ・八ッシィまでが時に魅力的でさえある。エピソードの頂点は第40話「フル・フラット」でしょう。次から次へと土井美加さんの絶妙な口調で語られる台詞には思わず息をのみます。そして何と言ってもへヴィ・メタル。特にL・ガイムとオージェの美しさに、それまでになかった新しい波を感じます。若草惠さんの音楽がまた、この世界を描き出す舞台装置として最高の演出効果を発揮しています。
残念なのはキー・キャラクターであるアマンダラ・カマンダラの声が後から変わって仕舞った事で、どんな事情があったか分かりませんがアマンダラの声は最後まで、あのクールな豊田真治さんに演じて欲しかった。とは言うものの、ポスト・ガンダム時代としての80年代を代表する作品である事は確かでしょう。DVDが出て良かった。
新時代はここから。
おすすめ度 ★★★★★
ファイブスター物語の永野護をデザイナーとして世に送り出した。それまでのアニメキャラクターの服装の概念を根底から覆した。また、永野護の描くメカも、それまでの物とは一切違うラインを提供している。富野作品でありながら、若手が自由に動いて作った本作は、富野作品のファンであるなら尚のこと、北爪ファン、マモルマニアも見てほしいと思う。
概要
1984年から放送された富野由悠季監督によるロボットアニメ全54話と、その特別編集版および後日談を描くOVAを完全収録したボックスセット第1巻。第1~30話までを5枚のディスクに収録している。
ペンタゴナという太陽系の辺鄙(へんぴ)な惑星コアムの若者、ダバ・マイロードとミラウー・キャオ、それに盗賊から寝返ったファンネリア・アムと有翼人リリス・ファウたちが、巨大ロボットのヘビーメタル・エルガイムを操りながら数々の出会いのなかで成長しつつ、ペンタゴナを独裁統一しているオルドナ・ポセイドナへ立ち向かっていく物語が展開する。
サブキャラクターや多数登場するヘビーメタル、キャラクターデザイン担当の永野護による漫画『ファイブスター物語』ともリンクする壮大な設定の舞台と、今でもまったく色褪せない魅力をもつ作品である。(田中 元)