意外と知られていない、埋もれた名作おすすめ度
★★★★★
「陰陽師」などの、時代劇スペクタクルの原点とも言うべき傑作です。
現代でファンタジーと時代劇を融合させると、若者向けの斬新な演出になりがちですが、
「大江山酒天童子」は歌舞伎の技法を取り入れたり、登場人物たちの言葉遣いも古式床しく
平安時代の雰囲気がよく伝わってきます。
また、大蜘蛛や巨牛をあえて本物らしく作らなかったことが、
幻想的な質感を作品に加えています。劇中の陰陽師も資料通りのオジさんでGood.
大映ではなくて東映の作品ですが「恋や恋なすな恋」という阿部保名と狐のファンタジー時代劇もDVD化を希望します。
単なる妖怪退治にとどまらない
おすすめ度 ★★★★☆
大スター長谷川一夫が酒天童子の役。
当然、この映画での酒天童子は、悪役ではない。妖怪や鬼でもない。
むしろ、古文書の中に「鬼」とか「土蜘蛛」とか記載されてきた「まつろわぬ民」「山の民」といった人々が、どのように天下に逆らい「鬼」と呼ばれていったのかを、明らかにする存在として描かれている。
単なる妖怪退治ものとは一線を画した秀作だと思う。