水道の民営化によって、世界各国の都市で実際に起きてしまったこととは。おすすめ度
★★★☆☆
会社名、かかわった人物の名が具体的に書かれていて、どこか知らないよその国のお話とは感じられずに興味深く読めた。日本の国力が下がるとこの本に出てくる国々のようになる可能性があるのかも、という考えがチラと浮かんで恐ろしくなった。
南アフリカでは、料金を払えないために水道を止められた何千人もの人々が汚染された川や湖から水を得ることを余儀なくされた結果、コレラの大流行が……。
ボリビアのコチャンバ市では世界銀行の勧告に従い水道を民営化した。それによって水道料金は値上げされ、料金不払い者の水道がストップ、地下水に対する権利をも会社が獲得したため、住民の所有する井戸については使用料を払わなければ閉鎖することが可能となった。その後水暴動が起き……。
オーストラリアでは汚水処理場の設備の不具合と監視ミスによる悪臭騒動が……。
その他、本文中にはブエノスアイレス、マニラ、インドネシア、コロンビア、米のアトランタとインディアナポリス、カナダなどの例が上げられており、巻末には『ウォーターバロン 企業プロフィール』『水問題に取り組んでいるNGOの一覧』などがある。
この二つの一覧、さらにくわしく調べたい人の手助けになるのではないかと思う。