音楽好きな素人の感想なんですが。ベートーベンの音楽は力強く、運命を切り開いていく雄雄しさ・・・が先入観としてあるようですけど、その反面が在ることももっと言われてよいかと思います。彼のＰ・ソナタを聴いていると、音楽は美しくあるべきだと、そう述べているベートーベンの声が聞こえてきます。
この演奏者、杉谷昭子は、まさに、音楽の本来的な内在、その美しさを追求しているようです。オーケストラも見事にバックアップしている、見事なベートーベンのＰ・協奏曲だと感じます。私のＣＤライブラリーの中で、この全集は輝いています。

素晴らしいの一言！昨今の流行りか、バリバリとキレのある演奏の多い中、美しい音楽とは何か…改めて認識させられた一枚である。これほどまでに一音一音を大切に紡ぎ出すピアニストにそう巡り会えるものではない。

アモーレ「愛」に満ちた心安らぐ、まさに天の音楽がここにはある。

惜しむべくは、やはり録音であるということ。これこそ生の音で聴くものだと思う。とはいえ自宅でいつでもこの音楽を楽しめるのも最高。CDであっても奏者の想いが世に伝わらんことを願います。

ハノンと言えば、ピアノ練習曲の定番中の定番。１９世紀に書かれた最小の努力で最大の成果を得るというハノンも現代となってはボリューム過多。そのような中で、普通の学習者が毎日練習可能な量にダイジェストしたこの本は、２１世紀の状況にハノンの精神を受け継いだものと評価したい。標題には中上級者となっているが、バイエル終了程度のレベルからの人でも使用可能な印象を受ける。このような教本の出版を契機に、様々な古典的な教本が体系性を残しながらも効率よくできるダイジェスト版として復活して、今のピアノのテクニック習得の負担を減らし、その分音楽的な学習に時間が割けるようになって欲しいと願います。