人間交差点(1) (ビッグコミックス)
人間が生きて行く上で経験する、喜び、怒り、哀しみ、楽しみ、を描ききった秀作です。罪を犯さざるを得なかった人、愛する人を失った人、無罪の死刑囚、その心に内にまで入り込むような描き方に著者達の真摯な思い入れが伺えます。
新・人間交差点 [DVD]
本作は、矢島正雄・弘兼憲史の『人間交差点』の新ストーリーとして、内海隆一郎の小説『翼ある船は』を織り交ぜながら再構成されたNHKの人間ドラマ。収録されている各回のタイトルは以下の通りである。
第1回 引退記者のファイル
第2回 赤ひげの歳月
最終回 翼ある船は
物語は、かつて新聞記者であった孤独な老人の寺嶋由次とその姉の孫娘で大阪で新聞記者をする富岡マリエとの出会いから始まる。当初、そりの合わない二人だが、様々な人々と向き合う中で現在と過去を通して多くの「感動」を紡いでいく。
しかし、最終回のカーチェイスだけは全くもっていただけない。いくら「岸壁の母」へと至る伏線とはいえ、せっかくの物語が少し浅薄なものに思えてしまった。また俳優に関しても、仲代達矢はともかく、佐藤江梨子と黒田有は、必ずしもベストの人選ではないような気がする。いわゆる「社会派」の重厚な素晴らしいドラマだっただけに、もう少し完成度を高めてほしかった、というのが私の率直な感想である。
第1回 引退記者のファイル
第2回 赤ひげの歳月
最終回 翼ある船は
物語は、かつて新聞記者であった孤独な老人の寺嶋由次とその姉の孫娘で大阪で新聞記者をする富岡マリエとの出会いから始まる。当初、そりの合わない二人だが、様々な人々と向き合う中で現在と過去を通して多くの「感動」を紡いでいく。
しかし、最終回のカーチェイスだけは全くもっていただけない。いくら「岸壁の母」へと至る伏線とはいえ、せっかくの物語が少し浅薄なものに思えてしまった。また俳優に関しても、仲代達矢はともかく、佐藤江梨子と黒田有は、必ずしもベストの人選ではないような気がする。いわゆる「社会派」の重厚な素晴らしいドラマだっただけに、もう少し完成度を高めてほしかった、というのが私の率直な感想である。
人間交差点 全19巻セット (小学館文庫) (文庫)
いろいろな、人生模様の短編作品集です。
家族・友人・仕事・人生・・。いろんなストーリーが描かれています。
仕事や人間関係など、悩んだ時、読み返してしまいます。
真面目な作品で、お気に入りです。
家族・友人・仕事・人生・・。いろんなストーリーが描かれています。
仕事や人間関係など、悩んだ時、読み返してしまいます。
真面目な作品で、お気に入りです。
人間交差点 全27巻完結(BIG COMICS) [マーケットプレイス コミックセット]
【弘兼憲史のファン】
弘兼憲史(ひろかね・けんし)の漫画を読むと、人生というものを考えさせられてしまう。初期の短篇シリーズ『人間交差点』(矢島正雄作、弘兼憲史画、小学館、1〜27巻。出版元品切れだが、amazonで入手可能)は、登場する人々が織り成すそれぞれの人間ドラマが胸に迫ってくる。『加治隆介の議』(弘兼憲史著、講談社、1〜20巻。出版元品切れだが、amazonで入手可能)は政治家のあり方を問い、『課長 島耕作』(弘兼憲史著、講談社、1〜17巻。出版元品切れだが、amazonで入手可能)を初めとする島耕作シリーズでは、企業における、さまざまなタイプの組織人の生き方が臨場感豊かに描かれる。そして、『黄昏流星群』(弘兼憲史著、小学館、1〜47巻)シリーズでは中高年の恋愛が正面から凝視されている。
【正直な著作】
弘兼とほぼ同年代で、若い頃から弘兼の熱烈なファンである私は、彼の作品は漫画にとどまらず、ビジネス書めいたものまでほとんどに目を通しているが、『ヒロカネ流――後半生は「人生楽しんだもん勝ち」』(弘兼憲史著、講談社)は、これまでの作品とは一味異なっている。
どこが異なっているのかというと、●自伝的要素が強いこと、●人生に対する考え方が率直に語られていること、●社会の少数意見と見做されることを恐れずに自分の持論を明快に表明していること――である。さらに、自分の作品が誕生した経緯についても言及しているので、弘兼ファンにとっては堪らない。一口で本書を表現すると、弘兼の素顔が晒されている「正直な著作」と言えるだろう。
【弘兼流人生論】
「自分の気持ちがちょっと弱気になったときや落ち込んできたときに、心の中で『ま、いいか』と割り切る。『それがどうした』と開き直る。『人それぞれ』と達観する。それが身につけば、人生はずっと楽になれるはずです」。弘兼の人生に対する姿勢は、「ま、いいか」、「それがどうした」、「人それぞれ」の3つに集約される。50歳からは「いい人」になんかならなくていい、というのだ。この意味で、連日、頑張ってMR活動を展開しているヴェテランMRに生きる上でのヒントを与えてくれるはずだ。
「サラリーマンが出世するために必要なのは、『ものまねができること』『段取りができること』『コメントができること』、この3つの要素だと僕は思っています」。私の長い組織人としての体験に照らして、同感である。
「昨今のリストラに見られるように、会社と個人の関わり方には大きな変化が起き、新しい価値観を持たなければやっていけない時代です。いつ人生のターニングポイントが訪れてもいいように、複数の逃げ道というか、選択肢を用意しておくのも必要な世の中となってきました」。
「人生において、長いスパンの計画はもちろん大事です。しかし、その日の計画を『段取り』よくこなしていくことも非常に大切で、その積み重ねが、長い人生を計画だったものにしていきます。『朝起きて夜寝るまでに何と何をする』ということをパッと瞬時に決め、能率よく計画をこなしていくことは、仕事においても何においても重要だと思います」。「『段取り男』である僕ですが、家庭においては、段取り機能も鈍ってしまうみたいです。うちの女房(漫画家・エッセイストの柴門ふみ)が怒っていろんなエッセイで文句を書いていますが、まさにその通りなのです(笑)」。我が家と全く同じ状況だなあ。
「人生にはアピールも必要!」。「やらない後悔より失敗して納得する」。「経験を活かしてチャンスを掴む」。「情報整理のコツは、できるだけ分類することです。内容の種類によって分ける、年代別に分ける、重要度によって分けるなど、分類の方法はさまざまありますが、どの方法がベストかはケース・バイ・ケースです」。「スケジュール帳、メモ用紙、筆記用具、この3つを僕は常に持ち歩いています」。「(若い時代、自信のある自分の企画が却下された)そんなときは、上の意見に素直に従い、潔くあきらめることにしていました。ダメだと言われたら、それ以上はどうしようもないからです。・・・そうした現実を受け入れて折り合いをつけながら、みんなをうまく説得できるようになるための努力をしていくことが大切でしょう。それが社会の中で生き、成長していくことだと、僕は思っています」。「サラリーマンに出世欲は必要不可欠。・・・向上心、モチベーションの源泉となるのは、毎日仕事があることです。仕事を通じて自分を成長させていけるという喜びの延長線上に、出世欲が生まれてくるのだと思います」。「僕はお金よりもむしろ、自分にとって居心地のいい時間や空間を優先しています。仮に大金持ちになったとしても、毎日時間に追われ、支払わなければならないものが山のようにあったら、快適な生活とは言えません」。「プライドではなく譲れない部分がある」。「逆らわず、いつもにこにこ、従わず」。「僕は何事においてもプラス思考をするほうです」。「僕は、昨日と今日は違うのだから、明日はもっと変化に富み、面白いことがあるはずだ、という考え方です。寝ている場合じゃないぞ、という気分なので、眠りに就いて5時間もすれば飛び起きます」などなど――本書には仕事のヒント、人生のヒントが満載なので、ヴェテランMRのみならず、若手MRにとっても参考になるに違いない。
【作品の裏話】
作品の裏話について――「島(耕作)と違い、僕は会社組織に馴染めません。人と共同で会社を経営するなど、絶対にしたくありません。全部自分でやる自信がありますし、他人とあまり深い関わり合いを持つのは面倒臭いのです。これからも僕は、『何事も人生自己責任』というスタンスで生きていこうと思っています」。
「『黄昏流星群』は、中高年の恋愛を描いた作品です。この作品を手がけることになったきっかけは、いまから15年ほど前のこと。僕も50代にさしかかり、同世代の仲間との飲み会の席で、ある問いかけをしてみたのです。『サラリーマンとして先も見えてきたいま、どんなことが一番してみたい?』。すると、『死ぬまでに、あと一回でいいから燃えるような切ない恋がしてみたい』と、全員一致でそう答えたのです。いいオヤジたちが何言ってんだ、と一瞬思いましたが、すぐに納得しました。人はいくつになってもときめくことが好きだし、心が満たされる出来事を求めているのです。ならば中高年向けの恋愛もありだろうということで、漫画の企画が持ち上がり、『黄昏流星群』の連載が始まりました」。なるほど、そういう背景があったのか。
弘兼憲史(ひろかね・けんし)の漫画を読むと、人生というものを考えさせられてしまう。初期の短篇シリーズ『人間交差点』(矢島正雄作、弘兼憲史画、小学館、1〜27巻。出版元品切れだが、amazonで入手可能)は、登場する人々が織り成すそれぞれの人間ドラマが胸に迫ってくる。『加治隆介の議』(弘兼憲史著、講談社、1〜20巻。出版元品切れだが、amazonで入手可能)は政治家のあり方を問い、『課長 島耕作』(弘兼憲史著、講談社、1〜17巻。出版元品切れだが、amazonで入手可能)を初めとする島耕作シリーズでは、企業における、さまざまなタイプの組織人の生き方が臨場感豊かに描かれる。そして、『黄昏流星群』(弘兼憲史著、小学館、1〜47巻)シリーズでは中高年の恋愛が正面から凝視されている。
【正直な著作】
弘兼とほぼ同年代で、若い頃から弘兼の熱烈なファンである私は、彼の作品は漫画にとどまらず、ビジネス書めいたものまでほとんどに目を通しているが、『ヒロカネ流――後半生は「人生楽しんだもん勝ち」』(弘兼憲史著、講談社)は、これまでの作品とは一味異なっている。
どこが異なっているのかというと、●自伝的要素が強いこと、●人生に対する考え方が率直に語られていること、●社会の少数意見と見做されることを恐れずに自分の持論を明快に表明していること――である。さらに、自分の作品が誕生した経緯についても言及しているので、弘兼ファンにとっては堪らない。一口で本書を表現すると、弘兼の素顔が晒されている「正直な著作」と言えるだろう。
【弘兼流人生論】
「自分の気持ちがちょっと弱気になったときや落ち込んできたときに、心の中で『ま、いいか』と割り切る。『それがどうした』と開き直る。『人それぞれ』と達観する。それが身につけば、人生はずっと楽になれるはずです」。弘兼の人生に対する姿勢は、「ま、いいか」、「それがどうした」、「人それぞれ」の3つに集約される。50歳からは「いい人」になんかならなくていい、というのだ。この意味で、連日、頑張ってMR活動を展開しているヴェテランMRに生きる上でのヒントを与えてくれるはずだ。
「サラリーマンが出世するために必要なのは、『ものまねができること』『段取りができること』『コメントができること』、この3つの要素だと僕は思っています」。私の長い組織人としての体験に照らして、同感である。
「昨今のリストラに見られるように、会社と個人の関わり方には大きな変化が起き、新しい価値観を持たなければやっていけない時代です。いつ人生のターニングポイントが訪れてもいいように、複数の逃げ道というか、選択肢を用意しておくのも必要な世の中となってきました」。
「人生において、長いスパンの計画はもちろん大事です。しかし、その日の計画を『段取り』よくこなしていくことも非常に大切で、その積み重ねが、長い人生を計画だったものにしていきます。『朝起きて夜寝るまでに何と何をする』ということをパッと瞬時に決め、能率よく計画をこなしていくことは、仕事においても何においても重要だと思います」。「『段取り男』である僕ですが、家庭においては、段取り機能も鈍ってしまうみたいです。うちの女房(漫画家・エッセイストの柴門ふみ)が怒っていろんなエッセイで文句を書いていますが、まさにその通りなのです(笑)」。我が家と全く同じ状況だなあ。
「人生にはアピールも必要!」。「やらない後悔より失敗して納得する」。「経験を活かしてチャンスを掴む」。「情報整理のコツは、できるだけ分類することです。内容の種類によって分ける、年代別に分ける、重要度によって分けるなど、分類の方法はさまざまありますが、どの方法がベストかはケース・バイ・ケースです」。「スケジュール帳、メモ用紙、筆記用具、この3つを僕は常に持ち歩いています」。「(若い時代、自信のある自分の企画が却下された)そんなときは、上の意見に素直に従い、潔くあきらめることにしていました。ダメだと言われたら、それ以上はどうしようもないからです。・・・そうした現実を受け入れて折り合いをつけながら、みんなをうまく説得できるようになるための努力をしていくことが大切でしょう。それが社会の中で生き、成長していくことだと、僕は思っています」。「サラリーマンに出世欲は必要不可欠。・・・向上心、モチベーションの源泉となるのは、毎日仕事があることです。仕事を通じて自分を成長させていけるという喜びの延長線上に、出世欲が生まれてくるのだと思います」。「僕はお金よりもむしろ、自分にとって居心地のいい時間や空間を優先しています。仮に大金持ちになったとしても、毎日時間に追われ、支払わなければならないものが山のようにあったら、快適な生活とは言えません」。「プライドではなく譲れない部分がある」。「逆らわず、いつもにこにこ、従わず」。「僕は何事においてもプラス思考をするほうです」。「僕は、昨日と今日は違うのだから、明日はもっと変化に富み、面白いことがあるはずだ、という考え方です。寝ている場合じゃないぞ、という気分なので、眠りに就いて5時間もすれば飛び起きます」などなど――本書には仕事のヒント、人生のヒントが満載なので、ヴェテランMRのみならず、若手MRにとっても参考になるに違いない。
【作品の裏話】
作品の裏話について――「島(耕作)と違い、僕は会社組織に馴染めません。人と共同で会社を経営するなど、絶対にしたくありません。全部自分でやる自信がありますし、他人とあまり深い関わり合いを持つのは面倒臭いのです。これからも僕は、『何事も人生自己責任』というスタンスで生きていこうと思っています」。
「『黄昏流星群』は、中高年の恋愛を描いた作品です。この作品を手がけることになったきっかけは、いまから15年ほど前のこと。僕も50代にさしかかり、同世代の仲間との飲み会の席で、ある問いかけをしてみたのです。『サラリーマンとして先も見えてきたいま、どんなことが一番してみたい?』。すると、『死ぬまでに、あと一回でいいから燃えるような切ない恋がしてみたい』と、全員一致でそう答えたのです。いいオヤジたちが何言ってんだ、と一瞬思いましたが、すぐに納得しました。人はいくつになってもときめくことが好きだし、心が満たされる出来事を求めているのです。ならば中高年向けの恋愛もありだろうということで、漫画の企画が持ち上がり、『黄昏流星群』の連載が始まりました」。なるほど、そういう背景があったのか。