危機の外相 東郷茂徳 (新潮文庫)
東郷茂徳は、東大独文科卒である。文学部卒で外交官となり、外相になって、戦時、平和を願いつづけつつ、東京裁判で禁固二十年の刑を受け、ほどなく心臓病で死んでしまう。城山三郎の『落日燃ゆ』もいいが、こちらもそれに匹敵する作品ではあるまいか。阿部は京大卒、しかし官能的な作品が多く、直木賞をとった『それぞれの終楽章』は私小説とも言える。
解説(岡崎久彦)によると、一般読者向けの東郷の伝記は、本書がはじめだそうである。もっとも十五年戦争については、主人公が変わると、その人物が一番平和を願っていたことになるのが面白く、松岡洋右や鈴木貫太郎にもそれがある。読み比べるとちょっと微苦笑が漏れる。
解説(岡崎久彦)によると、一般読者向けの東郷の伝記は、本書がはじめだそうである。もっとも十五年戦争については、主人公が変わると、その人物が一番平和を願っていたことになるのが面白く、松岡洋右や鈴木貫太郎にもそれがある。読み比べるとちょっと微苦笑が漏れる。