Karla Bonoff Live
いつ以来のアルバムでしょうか。その昔、新作を出さないことが完成度の証とばかりに、沈黙期間がレコード会社の売りのひとつになっていたボストンのようなグループでさえ、長いインターバルの果てに作品の数を増やしていき、気がつくと自然体といった感じだったウエスト・コースト系のアーティストのほうがずっと作品が少ないという、あの頃の、集まって仲間内で楽しく音楽作っていますといったパブリック・イメージはいったいなんだったのだろうと思ってしまう今日この頃、気が遠くなるくらい待たされた(ちょくちょく来日していたので引退したとは思いませんでしたが、もう出さないのではと危惧してはいました)カーラ・ボノフの新作です。ライヴに行かれたことのある人ならわかるとおもいます(僕は福岡およびその周辺のに行っています)が、自身のベスト盤の曲にケニー・エドワーズらとのブリンドルの曲で構成されており、ベスト・ヒット・ライヴといった趣きです。どの曲もシンプルなバックに、オリジナルの録音時よりも深みを増したカーラの声を堪能できます。ただ、おそらくほとんどの人がカーラを知ったきっかけであるはずの「涙に染めて」が収録されていないのが唯一とても残念でした。この曲はベスト盤でもボーナス扱いで、カーラ自身あまりお気に召さないのでしょうか。ライヴではアンコールにもってきていたので、やはり日本の聴衆にとって特別な曲であることは理解してくれているようなので、つくづく残念です。ところで、このCDは手にして初めてわかったのですが、どこのレーベルか判然としませんが、ライヴに行くと売られているケニー・エドワーズのライヴ盤と同じように自主制作盤なのでしょうか。
フットルース
ダンスもの・青春ものが好きなのでサントラ盤の中でもお勧めの1枚です。
なんといってもケニー・ロギンスの歌う「フットルース」はイントロ部分を
聴いただけでも嬉しくなるくらい好きな曲です。
「ヒーロー」は日本の”あの”ドラマ「スクールウォーズ」の主題歌
(麻倉未稀さん)でもお馴染みですよね。
話がちょっとそれますが、主演のケビン・ベーコンが、今や父親役を
されておりました。
そんな、時代の流れを感じつつも、懐かしいけれど古くさすぎもしない一枚です。
Restless Nights
この人の声はなにか切なげで、それでいて気の強さが感じられて。
ウエストコーストの人で、バックも当然その周辺の人たちなので
すが、どこかしっとりしんみりしてしまうのです。
一人になって、ちょっと元気になりたい時に、カーラの歌が寄り添って
くれます。
Karla Bonoff
70年代後半は、リンダ・ロンシュタットを筆頭に、ウェスト・コースト系の女性シンガーの名作が続出し、夢のような時代であった。そのリンダの大傑作「風にさらわれた恋」に(1)、(3)、(7)の3曲が取り上げられて一躍名をあげたシンガー・ソング・ライターがカーラ。その彼女のデビュー作が本作。リンダも協力している。カーラの場合、2作目の「ささやく夜」が日本でヒットし、そちらの方がデビュー作、あるいはそれだけ持っていれば十分と誤解している人もいるのではないだろうか。本作はデビュー作でありながら、「ささやく夜」に匹敵する名作。何しろ、99年発表のカーラのベスト盤「オール・マイ・ライフ」に一番多く曲が選ばれたのが本作だから、名曲だらけの作品と言ってよいぐらい。清楚な声で切々と歌い上げるスローな曲には心洗われるし、のりのよいポップな曲、スケールの大きな曲もあってヴァラエティに富んでおり、30年前の作品という古さは微塵も感じない。ではベスト盤を持っていればよいかと問う人もいるかもしれないが、ベスト盤には収まりきらなかった佳曲もあるし、ジャケットを含めた当時の(今も変らない)カーラの飾らない魅力を本作で感じて欲しいと思う。それだけの価値のある作品である。
ささやく夜
寡作で、マイペースで作品を発表するカーラ・ボノフのCDはどれも秀逸ですが、日本で70年代後半にウェスト・コースト・ロックを愛聴していた人の多くにとっては、本作が最も思い出深いでしょう。リンダ・ロンシュタットがその後89年発表の「クライ・ライク・ア・レインストーム」で採り上げた(1)を含む本作は名曲揃いですが、私にとって印象深いのはトラディショナルの(9)。ギターでジェームス・テイラーが参加し、哀愁漂うアコーディオンをガース・ハドソンが担当。多くのアーティストがこの曲を演奏していますが、私が聴いた範囲では本作のものがベストと思います。内容だけでなく、このぐっとくる表・裏のジャケットにもしびれます。70年代後半の女性シンガー・ソングライターの極めつけの傑作として、本作は大いに推奨に値します。