Bruder Des Schattens: Sohne Des Lichts
ジャーマンロックバンド、ポポル・ヴーの1978年作。邦題は「影の兄弟、光の子供達」
本作はサントラ「ノスフェラトゥ」の別バージョンとも言うべき作品で、
曲の方も大半はジャケ違いの同作とかぶるのだが、
タイトル曲である1曲目は18分に拡大された大曲となっていて、
うっすらとしたシンセに、素朴なオーボエと宗教的なコーラスが合わさり、
シタールの音色が鳴り響く、初期を思わせる神秘的な雰囲気で聴かせる。
Letzte Tage Letzte Nachte (Dig)
ポポル・ヴーの7th。1976作/邦題「最期の日、最期の夜」
前作の優雅さに比べ、一聴してサウンドのダイナミズムが増し、
原初的な神秘性と不穏なサイケデリック要素が音に現れてきている。
こもり気味の音の中に、壮大を詰め込んだ作りはやはりAMON DUUL2的で、
女性VoもそのAD2のレナーテ・クナウプになって、それまでにない妖艶な歌声で聴かせる。
明確なフレーズを奏でるギターの重ねで、スケール感のあるサウンドが構築されてゆく。
神秘的なサイケロックとして聴けば、ドイツ屈指の名作と言っても過言ではないだろう。
Popol Vuh: The Definitive Edition Of The Mayan Book Of The Dawn Of Life And The Glories Of
この本は古代マヤ族の古事記ともいえるものである。スペイン征服以前のマヤ族の創世記を含む神々の時代の神話や、彼らの伝説の故郷からのくるしい旅から次第に勢力を広げて一大王国を建ててゆくさまをダイナミックに描く。
テドロック博士の翻訳はこの書を余りにもマヤシャーマンの聖書という観点から訳そうとしているのが、個人的にはこの書を日本の古事記のような王朝の書と考える私は好きにはなれない点。しかしテドロックの訳しかたは華麗なマヤの世界を良く再現している。一つの優れた翻訳としてお勧めできる物である。
なお、決定版とサブ・タイトルがついてはいるが、これをカーマック博士やブラザーストン博士などの北米のほかのマヤ学者にいうと苦笑いされるのが普通。これはテドロック博!士の訳は一つの良訳ではあっても他の訳し方も可能だからである。
Nosferatu - O.S.T.
ポポル・ヴーによるヴェルナー・ヘルツォーク監督の同名映画のサントラ作。1978作
こちらはピアノとシンセをメインにした、いかにもサントラ的な作風で、
たゆたうような静けさの中に薄暗さとミステリアスな雰囲気とが感じられる。
美しいピアノにオリエンタルなシタールやタブラなどがゆるやかに絡み、
音数は少ないながらも、やはりフリッケらしさの表れた作品といえるだろう。
Hosianna Mantra
ジャーマンプログレの名バンド、ポポル・ヴーの3rd。1972作
前作まではムーグシンセをメインにしたいわゆるエレクトロ系のサウンドだったが、
今作からはしっとりとしたピアノを中心に聴かせる、自然体の音へと変化している。
ゆるやかなピアノに神秘的な女性Voが絡み、そこに巧みにギターの音色を配した楽曲は
宗教的な荘厳さを秘めながらも、とても耳馴染みがよく、まどろむようにして聴ける。
ジャーマンロックのバンドたちの中でもひときわ異彩で、はかないほど繊細で美しい音だ。