ブラームス:交響曲第2番
テンポやアクセントの誇張がなく、自然に音楽が隆起し、その中でウィーンフィルのあえやかな管楽器の響きが混ざる。こういった演奏はもうそう聴かれることはなくなった。第四楽章など、実演か、もう少し若い頃のベームならもっと激しい演奏になるのではと思うし、これが初出で出たときは、私も若かったので、少し物足りない気がしたが、今となっては、この穏やかな隆起が心地よい。ブラームスは、ベートーベンではないのだ。
付属として入っている中では、悲劇的序曲が力のこもった優れた演奏だと思う。アルトラプソディは、クリスタ・ル−ドウィッヒも含め、深沈とした響きが魅力的だが、ちょっとテンポが遅すぎないだろうか。
ワーグナー:ワルキューレ 全曲
指揮のスケールが巨大で誰一人として追いついていない。やはりフルトヴェングラーは凄い人だった!と思いを新たにした。
音質改善もこのシリーズでも一番であり、とても半世紀以上前の録音とは思えないほどである。
ベートーヴェンの生涯 (岩波文庫)
著者は、ベートーベンの全生涯のもくろみを「歓喜」としている。
ベートーベンは、ウィーンから良い生活が送れるように守られているわけでもなく、彼は長い期間貧しい生活をしていた。 そして耳に病気を抱え、音をうまく聞きとれないのに作曲活動を続けていたことはよく知られているが、耳だけでなく体のいたるところに病気を抱えていた。
恋愛においても、不運が付き纏い、想いを寄せていた相手と結婚ができなかった。そして「つんぼです」と言えないがために、彼は社交を避け、よりいっそう孤独に陥る。
これらの不運を見るだけでは、私たちがベートーベンから得られるものは少ない。 しかし、ここが重要な点だが、彼は「勝利者」であった。 彼はこれらの運命・悲哀に打ち勝ち、「歓喜」をつかんだ勝利者であった。
この過程をベートーベンは1つの金言により表している。
『悩みをつき抜けて歓喜に致れ!』
彼はなぜ「歓喜」をつかみたかったのか?なぜそのために曲を作ったのか?
それは、貧しい人の運命を改善するためである。 つまり、ベートーベンは我々のために勝利者となったのだ。 彼の不運を見ると私たちは苦しみや敗北などしか見出すことはできない。しかし、彼は勝利者となることで、それらの苦しみを浄化してくれたのだ。
ワーグナー:トリスタンとイゾルデ 全曲
従来の盤より弦のなまめかしさが強くなり、モノラルということで情報量の少なさをぬぐうことはできないにしても、私にとっては非常に聴きやすくなりました。この、フルトヴェングラーの至芸ともいうべきトリスタンとイゾルデが、より良好な音で聴くことができてうれしい限りです。
廉価再発が多くありますが、音質にこだわる方はもちろんのこと、この演奏が好きな方にはぜひ手に取ってもらいたい一品です。
ファゴット・イン・トリオ
特にグリンカが神がかってます
長くて退屈しやすい曲なのにこの演奏はとてもリズミカルで聴いててワクワクします
木管やってる人はもちろんやってない人もすべての人にお勧めです(^ω^)