時宗 巻の弐 連星 (講談社文庫)
地方に御家人がちらばり、
一所懸命が本分だった鎌倉武士の時代。
勝利しても恩賞も出せない
侵略者との戦いにおいて
国を守るということを訴える時宗。
国を守ると同時に命がつきる時宗。
まさに全身全霊だったのだろう。
NHK大河ドラマ 北条時宗 総集編 DVD-BOX
非常に酷評が多い作品ですが、私は好きです。
まず、世界史の中の日本を描こうとした意欲。
モンゴル=元も絡めた13世紀の東アジア情勢。
南宋貿易をしている博多の街は初めて知りました。
あと、やはり兄弟でありながら国を背負って立ち、国民の命が肩にかかっている時宗と
国も家も棄てて自由人として生きる時輔の対比。
特に時輔は自分の存在意義を探して世界を流浪し
ついには弟の時宗よりもはるかに広い視野を手に入れます。
時輔が史実と違って生き延びた事にかなり批判があるみたいですが
時宗との対比キャラとして、またあの時代には珍しい
世界的な規模での視野を持つ人物(ドラマではこういう人間がいないと話が進まない)として
かなりドラマを盛り上げた感じがあります。
史実と違うドラマでもこんな感じで歴史上の人物が活躍するのは
創作ものとしては良品でしょう。
レビュアーの方も書かれているとおり、
確かに時代にそぐわない反戦思想がドラマの質を下げている感はありますが、
このスケール感と人物描写はもう少し評価されて良いと思います。
もう少し脚本を練れば「花の乱」や「琉球の風」のような
良作になったのではないかと思います。
完全版じゃないので☆3。
男気のあるクビライ・ハーンが一番好きでしたが
なんと俳優さんはレッド・クリフの関羽さんだったんですね!
時宗 巻の四 戦星 (講談社文庫)
<巻の4>では、2度の襲来の様子が描かれている。
私がこの巻で注目したいのは、なんと言っても1度目の襲来から2度目の襲来の間の、時輔の大都での諜報活動である。鎌倉幕府に斬られた杜世中の家族に取り入ることから始めて、再度の襲来を画策するクビライに対する情報操作を成功させる。
ここで、あのマルコ・ポーロまでが登場するのだから、本当に面白いが、それは皆さんが実際に読んでお確かめください。
ただ、ひとつだけ欠点を挙げるとすれば、戦場の描写部分が長すぎること。迫力満点のまま、延々と続くので、おなかいっぱいを通り越して疲れてしまう。
よって、星4つです。
時宗 巻の参 震星 (講談社文庫)
NHK大河ドラマの原作本。この巻から漸く『時宗』が主役!と思いきや、お兄ちゃんの時輔が主役の座を奪っております。史実としてより、小説としての面白さ、醍醐味が溢れている作品。人間関係がドラマと180度違うので、ドラマと原作、2度美味しいです。