プリズムペーパーバックス No.009 週刊ラサーン 《ローランド・カークの謎》
こんなマニアックな特集があって良いのか!と驚き、嬉しくなってしまいます。
そう言う意味では貴重な本であり、「この本を出した」と言うだけで既に評価に値します。
内容的には、「カークに関するデータ(アルバム、楽器、メンバーetc)を出来る限り集め、それを体系的に整理した本」と言う印象です。
多分、著者としては、「〜を体系的に整理した結果、そこから見えて来る事象を通じて、カークの姿を浮き彫りにする」と言うのが狙いなんでしょうが、正直、「そこから見えて来るもの」については、いささか食い足りない感じです。
ただ、もの凄く熱意と根気をもってデータの収集解析を行ってるのは伝わって来るので、その点は買いたいですね。
Volunteered Slavery
グロテスク・ジャズとか言われてるが今の耳においては音そのものは全くまともである。しかしこのエキサイティングな音楽はなんだ。これをジャズと言っていいのか。たまたま題材とミュージシャンがジャズにカテゴライズされるだけでその精神はむしろブルースやロックに近い。何日もかけて煮こんだモツ煮のような、いやソウルフードというべきか。全く絶品だ。遊び心も満点だが完成度の高い一流のファンキーな音楽だ。様々な表情で飽きさせない構成となっている。コルトレーンメドレーはただ美しいの一言だ。
ザ・ジャズ・コープス・フィーチュアリング・ローランド・カーク
近未来的な音を出すヴァイヴ入りのピアノレスという事で、非常に抜けのいい、乾いた音だ。
ローランド・カークの参加作では異色の内容。
と言うのも、ソロ・パートになると「単一楽器」でアドリブをかまし、
それに加えて、珍しく「バリトン・サックス」を吹く曲もあったりする。
いや、それ以上に「異色」なのは、春の陽だまりのごとく穏やかで、洗練されたこのグループとは、
相容れない音楽性のカークが、このレコーディングに参加した、という事だろう。
この「非力な」ハードバップ、要するに、典型的なウェスト・コーストの中では、
たとえ単一ホーンであっても、楽器音痴の俺でさえ、すぐにカークと判っちゃうもんね!
Jazz Icons - Rahsaan Roland Kirk - Live In '63 And '67 [DVD] [Import]
このミュージシャンほど「現代に生まれてくれば良かったのに」と思う人はいません。CDで音だけ聞いてると普通のコンボジャズなのに、映像で見るとまさに一人ビッグバンド!!。3本サックス+フルート+リコーダー+ホイッスル+本人の叫び&スキャット!。そうか!こんな演奏だったのか!。あまりに先鋭すぎて理解されにくかったのもうなずける。アメリカではジャズはもう古くなりつつあって、彼のようない「とんがったジャズ」はヨーロッパにしか活路がなかったのか?、。3本のサックスを見事に操り、すばらしいハーモニーを奏でている。1本のサックスにはセロハンテープ?で固定したキーが見られたり、2本のサックスを片手で操作したり、彼の創意工夫が見て取れる。ビバップをとうに追い越し、マイルスやコルトレーンさえも自分の音楽のほんのエッセンスに使いつつ、出来る事のすべてを出し切り、しかもユーモアもたっぷり含んでいる。ああ、目の前で見たかった!。
SUPERSHOW THE LAST GREAT SIXTIES MUSICAL EVENT [DVD]
長らくVHSや、不満足な海外の怪しいDVD盤でしか、見ることの出来なかった稀少盤(現在廃盤)です。
1969年当時のロンドン郊外のライブ・ファクトリー「ライノリウム」で2日間行われた
ライブ映像が収録されております。
VHS盤などでの残念な品質(画像、音声)に嘆いておりましたが、こちらのDVD盤の改善された
素晴らしさに驚嘆せざるをえません!