あおげば尊し [DVD]
厳格な校長先生だった父。教え子が見舞いに来ることもない。そんな父に反発しながらも、同じ職業に就いた息子。そして、その生徒・田上くん。彼が先生のお父さんの「死」を間近に見て、自身の父の最期を語る場面は涙が流れた。父は「最後の授業」で、自身を教材にして静かに、何も語らずに、それぞれの胸に多くのものを残した。
僕たちは、死体を見たがる子どもたちを、「それはおかしい」と考える。それは、間違ってはいないけれど、一歩踏み込んでその子たちのかかえている「問題」に気づいたなら、また対応も違ってくるのだろう。
そして、ラストのお葬式の場面は、思わず、声が出そうなほど涙が止まらなかった。
翔和学園―“生きる気力を育てる”発達障害教育
翔和学園は、日本の公立・私立小学校で、酷い目に遭ってきた発達障害を抱える青年たちが通うフリースクールである。本書の具体的なエピソードを読むとすぐに分かるが、悲惨な状態で入学してくる子供たちが多い。
現在、日本中の小中学校の普通学級が、発達障害を抱える児童の対応に悩み、悲鳴をあげていると言っても過言ではない。現在の日本の特別支援教育の教育行政側のサポートは、個別対応のノウハウに終始している。本当に必要なのは、集団教育の中での特別支援教育である。また、特別支援教育に関しては、知識ばかりが論じられ、実際の現場の教師や子供たちを救う事ができないものが多い。
本書では、それらの現状に真っ向から異を唱えている。そして、それらの課題にまっすぐに正対し、完膚なきまでに打ちのめされてきてしまった子供たちを再生させた成功実例集でもある。全国の多くの教師たちにとって、福音の書であることは間違いない。