楽園
鈴木光司さんの「楽園」を読んで、とても感動しました。この「楽園」をテーマにした曲があると聞き、思わず購入。
アルバムは1神話 2楽園 3砂漠 から構成されています。
『プロローグ:ベリンジア』、『ラピシア』、『航海』、『砂漠』、『鍾乳洞〜地底湖』が特にお気に入り。
classicともpopsとも異なる、切なく悲壮感を漂わせながらも力強さの感じられるとても美しいメロディーです。
一曲一曲すべてに物語があり、「楽園」の舞台となる深い森、美しい海、広大な砂漠、現代のニューヨーク、そして鍾乳洞。目を閉じていると次々とその光景がスクリーンのように移り変わります。
BGMとして流すよりは、じっくりと光景を思い浮かべながら聴いてほしいアルバムです。
こちらのピアノの楽譜も購入しました。ソナタを習得されている方でしたら楽に演奏できるかと思います。CDで聴くのとはまた違った感じが楽しめます。
「楽園」は私の最も好きな本です。CDを聴く前にまずは本を手にとってみてください。本を読んでからのほうがメロディーから光景が思い浮かべやすいからです。きっと人生の中でお気に入りの1枚になるでしょう。
エッジ 上 (角川ホラー文庫)
286頁の厚さは物語に引き込まれれば何てことない量になるのだけれど、この作品のように常に現象に対する説明挿入が多いと閉口せざるを得ない。
「ぼくは相対論も量子力学も理解していない。でも、生きていく上で、困ったことはなかったな」と、266頁で羽柴にこの台詞を言わせているからには、鈴木光司もこの作品が万人受けしない事を覚悟で書いたのだろう。
日本だけでなく世界中の失踪事件に挑んだこの本、上巻は身近な熱海で集団失踪という所で終わるので、気になって下巻に進まざるを得ない。
リング (角川ホラー文庫)
よくも悪くも、映画の成功で有名になった本作ですが、そのため「すごく恐い」とか「貞子」ばかりがクローズアップされて、小説の面白さが、正しく伝わってないのが残念です。この小説の面白さは「見ると1週間後に死ぬ」という、まるで不幸の手紙のようなくだらないプロットを、エンターテイメントとしてストーリー化したところにあると思います。オカルトをサイエンテフィック・ホラーに昇華しようとした、S・キングの「キャリー」に近い内容です。連作「らせん」「ループ」ではさらにSF色が強くなっていき、壮大な物語に発展していきます。ぜひ、3作続けて、読んでいただきたい作品です。
楽園~加羽沢美濃+鈴木光司
鈴木光司の壮大な冒険ファンタジー小説『楽園』からインスパイアされたイメージに対して、即興演奏を得意とするコンポーザー・ピアニストの加羽沢美濃が万華鏡のように次から次へと変化する曲想を持つ15曲をリスナーに届けたものです。
加羽沢美濃のピアノもステキですが、田中邦和のサックスが実にジャジーで見事な演奏を伝えています。後藤勇一郎ストリングスによる演奏も温かく、全体に感じられる豊穣の世界観は、加羽沢美濃の才能の豊かさを証明するかのようでした。
曲の構成は、以下の通りです。
1.神話~プロローグ:ベリンジア/ユーラシアの大地/赤い鹿/ラピシア/侵略/北の回廊
2.楽園~南太平洋の孤島/楽園の神話/赤い鹿の石/楽園の祭り~略奪/航海
3.砂漠~ニューヨーク/砂漠/鍾乳洞~地底湖/エピローグ:ベリンジア
どれもステキですが、特に4曲目の「ラピシア」は情感豊かで、物凄く美しい音楽が展開していますので、何回も繰り返し聴きたくなりました。メロディもハーモニーもリズムから質の高い香りが伝わってきます。
9曲目のメロディアスな「赤い鹿の石」もお気に入りの1曲です。可憐で、爽やかで、キラキラと光を浴びて輝くイメージは映像を見ているかのような鮮やかさでもってリスナーの感性を揺さぶります。
ジャズともクラシックともポップスというジャンルにも入らない曲想です。まさしく加羽沢美濃ワールドとも言うべき大きくて変化自在な音楽がめまぐるしく展開されて行きますので、あらゆるジャンルのリスナーに関心をもってもらえるものだと思っています。
エッジ 下 (角川ホラー文庫)
これはある程度、人生経験を積まないと理解できないかも。
結婚して子供がある程度大きくなった世代の方なら共感できるんじゃないかと思います。
最後のクライマックスでは、涙が出そうになりました。
心理描写ではこの人の右に出る方はいないんじゃないかってくらい、とても感情移入できました。
私は感動しましたよ、ラストは3回くらい読み直しました。
よかった。