宗教とツーリズム―聖なるものの変容と持続―
特定の宗教における聖地が、観光の対象として積極的に消費されたり、世界遺産として認定され人類の共通財として愛でられたりと、宗教史上のかつてない変化を被っている。こうした状況を、「聖なるもの」が世俗的な欲望やビジネスライクな策略に呑み込まれて衰退していく過程として切り捨てるのではなく、むしろ、ツーリズムという社会文化的な力学の影響をうけて宗教が再編成されていく興味深いプロセスとして理解し、その動態について冷静に考えていこう、という趣旨のもとに書かれた11本の論文(+序章)からなる論集である。
近世までの御師や先達に代わる、鉄道会社や観光業者や地域行政の「信徒/旅客」に対するコーディネーターとしての役割の重要性、ルルドやサンチャゴなどの巡礼地において、「信仰」を持たない者たちが現地の人々によって不意に持たされてしまう聖性や、彼らとの関係で無意識のうちに演出されていく「巡礼」らしさ、観光開発の過程で四国遍路の道に新しく投入されていく現地住民の想像力や郷土愛、オタクの実存を包摂する「聖地」の力、長崎の教会群の世界遺産化にあたり焦点化される真正性をめぐるポリティクスや観光客の倫理の問題、世界遺産化したバングラデシュのイスラーム聖者廟の管理権をめぐる闘争、アウシュビッツを題材とした「ダークツーリズム」(戦争や奴隷制や強制収容など歴史の「負の遺産」に基づく観光)の問題構成など、多種多様な対象と論点がみられ、これ一冊読むだけでかなり勉強になる。
宗教研究のもっともホットな話題の一つについての入門書として使えるだけでなく、現代社会における文化消費の論じ方について学びたい人にも有益な作品であるといえよう。もちろん観光業界にかかわっている読者にも是非おすすめしたい。
成長なき時代の「国家」を構想する ―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―
経済成長を目的とした従来の政策に代わる政策ビジョンを「オルタナティヴ・ヴィジョン」と位置付ける。このヴィジョンは、
1.国民の福利向上を目的とする。
2.人間関係・共同体の持続性と一体感の維持
を目指す。
これにより、経済政策の重点は、これまでの政策ヴィジョンと異なり、
1.「個人」から「社会」へ
2.「短期」から「長期」へ
3.「量」から「質」へ
4.「事後」から「事前」へ
と大きな転回を伴うこととなる。
第1部は中野剛志による「オルタナティヴ・ヴィジョン」の解説。
第2部は、様々な論者が各々の専門分野からこのヴィジョンを掘り下げる論考集。
第3部は、討議。
どこを切ってもユニークな論考が目白押しである。
個人的には、仕事柄、黒藪誠の地域産業政策に関する論考を興味深かった。
極・艶 GOKU・EN
原作が好きでCDも手にしたのですが、色々割愛されすぎていて残念です・・・
真木がどうして龍ヶ崎弟のところに乗り込んだのか、捕らわれた先々での
あんなことやこんなことが思いっきりカットされていました。
(大人の事情でしょうか)
これでは主人公達の切ない恋情が、ちょっとどころか、大いに伝わらない。
物足りなさMAXです!
いっそ2枚組にしてくれればよかったのにと、ただただ残念。
それでも声優さん達の熱演に☆2にしたいところ☆☆☆3つにしました。
森川さんと千葉さんの絡みはステキです。
ひとひら 第2巻 [DVD]
双葉社・月刊コミックハイ!連載・桐原いづみ原作
「ひとひら」TVアニメ第3,4話を収録したDVD2巻です。
演劇を中心にした夢に賭ける信念と仲間との絆の有様が魅力です。
今回、演劇研究会・一ノ瀬野乃の真実に迫る展開に息を呑みます。
第3幕「初舞台」★★★★☆
いよいよ5月の初舞台。緊張度MAXの麻井麦と一ノ瀬野乃が、舞台袖で心を交わす様を丹念に描いています。
なぜ彼女は麦の声量に惹かれたのか?そこに隠された事実の哀しさと歯痒さ、
演劇を知るきっかけの存在の暖かさとそれでも鈍らぬ決意の強さに思わず引き込まれてしまいます。
ただの「まがい物」集団ではない、その夢に賭けた本気の覚悟と意地を知る序盤の山場と言えるでしょう。
第4幕「頑張ってます・・・?!」★★★★☆
五月病気味の麦と甲斐をシメるべく一同は勉強会に取り組みます。
変幻自在の色モノぶりを発揮する一之瀬野乃の孤立暗躍ぶりが笑えますが、
研究会設立のきっかけ、野乃を支えた彼女の存在など情熱の深い有様にも注目です。
特に夜の公園で挑む、自らを省みないその姿が真剣さを前回よりさらに強調しています。
卍<まんじまい>舞2 妖艶三女濡れ絵巻 [DVD]
第一作大江戸浮世風呂譚 卍<まんじまい>舞 [DVD]で喜多嶋舞が演じたお蝶を本作品では武田久美子が演じる。別人が演じているため、当然ながら一作目のシーンがインサートされることもないので、ストーリーに連続性があると言うことは、解説でも読まなければわからないだろう。
本作品では主演の武田久美子がバストトップまで見せている点を高く評価したい。しかしその分、脇役陣の露出度が減っている。まともに脱いでいるのは沢木まちこと白石ひとみくらいである。
アクションシーンは火薬まで使って、大江戸浮世風呂譚 卍<まんじまい>舞 [DVD]より本格的である。
往年のピンキーバイオレンスは、池玲子や杉本美樹と言った主役のみならず、脇役陣にもピンキーバイオレンスしかイメージできないような女優を揃えていたものだが、出演者の一覧からして本作品はピンキーバイオレンスたり得ていない。