7つの黄金郷〈5〉 (中公文庫―コミック版)
いよいよ第3部となりました。
個人的には、この3部はいろいろと苦手な部分が多いのですが
敵側スパイ総元締め、紅蜥蜴の正体と素顔が明らかになるため
やはり、読まずにすごすわけにはいかないでしょう。
(素顔は、第6巻で登場します。もちろん美形)
畏れ多くもローマ法王などもでてまいります。
2部に比べて、作者は不調だと思いますが、5巻部分は
少なくとも絵は綺麗です。
3部の冒頭のエピソード、クレメンテ公が紅蜥蜴に疑われ
オリビエが拷問される、というのには感心しません。
2部で刺青の公表役を受け持ち、また、スコットランドに同行して
双子の身を守ったという一連の出来事を無視しています。
クレメンテ公が紅蜥蜴なら、オリビエはとっくの昔に暗殺されていた
はずです。
この不自然な設定はひとえにクレメンテ公の過去を明かすために考えられたのでしょうが
その場面の公があまりにもせつなく美しいので、ひとまず設定の不自然さは
不問に付します。
しかし、6巻部分ではクレメンテ公は瀕死の重傷を負い、
お風呂にも入れなくなってしまうという
あまりにもロレンツォさまをないがしろにしたこの3部って
もう少し何とかならなかったんでしょうか。
公が意識不明で生死の境をさまよっている間に
ロレンツォファンの3/1は紅蜥蜴ファンに流れたものと推定されます。
(その点アーサーファンからの移動は少なかったと思われます。マリオットファンやドレークファンなどの渋い層も流れたか二股かけたものと推定します。)
7つの黄金郷(エルドラド) (3) (中公文庫―コミック版)
1部でレッドフォード侯爵夫人の救出が成功して、このストーリーの主題であるエルドラドについて語られ始めます。同時にロレンツォがオリビエの背中の緋文字のコピーを公開し旧教国の目を大西洋の彼方のインカへ向けさせ、この部ではイングランド国内の混乱に乗じたスコットランドの反乱を煽るメアリスチュアートとその隠し子の紅蜥蜴の暗躍と多分後に語られる筈であったイングランドの艦隊がスペインの無敵艦隊を破る名場面への伏線を張っていった様ですが構想が大き過ぎたのでしょうか連載が休止されて久しい。
もう少し続きを描いて欲しかった。それでも観賞価値は十分あると思います。
黄金郷(エルドラド)伝説―スペインとイギリスの探険帝国主義 (中公新書)
ダニエル・デフォー「ロビンソン・クルーソー」は,南海の無人島での話なので,当然,太平洋での話だと思っていた(チリ沖のファン・フェルナンデス諸島で1704〜1709年を過ごしたアレクサンダー・セルカークというイギリス人船乗りの実話がモデルとなっている)。しかし,小説は,南米・ベネズエラのオリノコ川河口が舞台であった。
デフォーは,金の有数の産地であるオリノコ川周辺のギニア地方(グアヤナ地方)をイギリスの植民地とするため,同地に多数のイギリス人の入植を誘うため,「ロビンソン・クルーソー」を書いた。
「エルドラド」とは,金で溢れかえるという伝説の王国。
スペインの将軍ケサーダは,オリノコ川周辺こそエルドラドが所在する地であると考え,1569年,エルドラドの地の終身総督及び軍務総監の地位が与えられた。
エルドラドは,その後,スペインとイギリス,イギリスとベネズエラが相争う地域となった。
が,20世紀に入ると,金鉱業はさびれた。
スティーブ・マックイーン主演「パピヨン」のモデルである,強盗犯パピヨンが収容されていたのは,エルドラド刑務所である。
本書は,ベネズエラを舞台に設定して,15世紀から現代までのエルドラドの移り変わりを,種々のエピソードを交えながら解き明かす本である。
欧米による黄金郷探検譚に興味のある方にはお勧め。