断る力 (文春新書)
筆者は「コモディティ(汎用品)」から抜け出して「スペシャリティ」になるためには、
自分のスキルアップになる仕事以外は「断る」べきと説いています。
そして、その過程で嫌われることについては、ある程度割り切りが必要としています。
おっしゃることはごもっとも、と思います。
「スペシャリティ」を目指すのに、余計なことをしている暇はありません。
しかし、ちょっと気になることがあります。
職場には、誰がやっても大差ないが、誰かがやらないと滞ってしまう仕事というものが
結構あると思います。
これを皆が「断って」しまったら、一体誰がやるのでしょうか?
「この本を読んでいない人がやれ」ということなのでしょうか。
ドライですね。でも本当にそれでいいのかなぁ…
筆者の言いたいことは第1章まで(分量にして約半分)に書かれていて、
後は補足説明といった感じがしました。
その意味で、紙資源がもったいないと思いました。
「断わる力」を身につける!―正しく断れる人が信用される (新講社ワイド新書)
頼み事を断れなくて自分を追い込み自分を失ってゆく、
断ることに怖れを感じる、断ってはいけないと思い込んでいる、
断らなかったことを後から後悔し引き受けてしまったことをイヤイヤしている、
そういうことの繰り返しという人のための本です。
逆に、人からの頼み事を断ることなど、
何の苦もなくできるという人には必要のない本です。
本文中の著者の言葉をお借りして、少し内容の一部を紹介させていただきます。
「断れない人」には、優等生タイプが多い…
その理由は、幼い頃から、ものわかりのいい子、言うことを聞く子、
すなおに「わかりました」と従う良い子、
彼らは、そういう子供になるように親から(脅されながら)育てられてきたし、
また本人も、そういう「大人にほめられる子」になりたいという
一面があったのだ…
生まじめで、責任感が強く、人からなにかを期待されれば、
大喜びで、自分の気持ちを放り出して、
最優先でその期待に応えようとする、そして、自分の限界をこえて
頑張り過ぎて、あげくのはてに、うつになる。
そういう人は、引き受ければ、「ああ、よかった」と心に安らぎが
生まれると思いこんでいるが、それは誤解で、
実は、きちっと断って初めて、
安堵感と解放感が心の隅々にまで広がってゆくのだ。
私自身も若い頃、知り合いに事業資金としてお金を貸しました。
そして、彼は失敗し、その人とは縁がなくなりました。私はただ「お人好し」という
ことで利用されただけでした。
「借金の頼みを断ることで友を失うことはないが、
金を貸せば簡単に友を失う」というショーペンハウエルの
言葉も本書に紹介されています。
どう断るかの具体例も
本書にいろいろのっていますので、
気楽に読める本として、おすすめさせていただきます。