花芯 (講談社文庫)
とても言い回しが滑らかで、自然で、美しさに満ちていて
それが壮絶な女たちの人生をとても淡々と読ませてくれました。
恋という感情を、説くというよりはありのままに形にして見せてくれるような
そんな感覚に陥りました。自然と自分の中の気持ちと向き合え、
読み終わったあとには不思議な満足感の残る1冊でした。
夢を力に!―甲子園と高校野球隠された心の物語 (日刊スポーツ・ノンフィクション)
高校野球の人間ドラマを引き出す、好評シリーズの5巻目。
どの章も力量あるライターさんが書いてるのでおすすめですが、個人的に印象に残ったものをピックアップ。
第3章は、2003年センバツで延長15回を投げ合った2投手の物語。
東洋大姫路のアン、花咲徳栄の福本。
二人の投げ合いをテレビで見ていただけに、近況を知る事ができたのは良かったです。
アンは東芝健康保険組合で勤務、福本は社会人野球を引退して母校のコーチ。「引退して、完全に野球を頭から外した」というアン。
指導者にもならないのはちょっと残念。
第6章は65ページに及ぶ長編。
夏2連覇の偉業を達成した香田誉士史が、中学時代からずっとライバル視する男・森田剛史(佐賀商、神埼清明監督)。
しかし森田もまた香田をうらやんでいたと言います。
中学から現在まで続く、二人のライバル心と絆を追います。
冬虫夏草ハンドブック
ユニークなテーマ設定や特定分野に絞った文一のハンドブックシリーズの一冊.コガネムシサンポタケ,ヤンマタケなど,自分で採集や観察した種類も載っていた.本の大きさから考えると割高感(1400円)があるが,これだけハンディに日本の冬虫夏草が網羅されていることを考えると安い.探し方や標本の作り方などは余り載っていないので役立つ.用語解説の業界編に載っている,坪,ギロチン,特急掘り士,お座敷,中草祭等が笑えた.見たことのあるイラストと思ったらゲッチョ先生が執筆者だった.
吾輩は猫である (新潮文庫)
この岩波文庫1990年版の緑帯シリーズは漱石全集のデザインを引用していますが旧かなづかい旧字体を新かなづかい新字体に編集部が書き直したものです。
したがって旧かな旧字体に慣れない小中学生の方でも違和感無く読めるものと思います。
またおおよその漢字には振り仮名がふってあり、独特のあて字の多い漱石の文章も苦労なく読めるものと思います。
新かなづかい新字体については異論のある方もいると思いますが全集版を前に何回か読んでいる自分も途中まで気付かず、逆にその内容の今日的な事、古典落語に共通する東京話し言葉のリズムの通底、にあらためて気付かされる発見がありました。