藤波辰爾自伝 未完のレジェンド
藤波辰爾……私的に言えば、一番「期待」を裏切ったレスラーである。
「期待を裏切ってくれた」と大声で言えるほど、私は藤波ファンだった。
猪木、長州、前田……いや、鶴田、天龍を含めて。私は藤波が「跡取り」になることを熱望していた。
当時、藤波も「天下を取る」と言っていた筈だ。
しかし、本書を読めば、そんな「乗せられたファン」の気持ちが益々浮かばれない事がよくわかる。
それでも、元藤波派(今もかな?)は、彼を受け入れねばならないと同時に思うわけである。
著者の「ある種の正直さ」がファンの傷ついた心を少しばかりか慰撫してくれるからである。
その正直さとは、相も変わらずの愚直なまでの「猪木派宣言」である。
この「貫かれたスタンス」では、天下を取るなんて事ができるわけがないのだ。これでは仕方ない。
良く分かったよ、ドラゴン。と言うしかないではないか。
対S小林戦での猪木のジャーマン・スープレックスがその「渾身さ」においてプロレスファンの語り草になって久しいが、藤波辰爾のジャーマンこそ、つねに「渾身」で我々藤波派の胸を揺さぶり続けたものはない事を、何人のプロレスファンが知ってることだろう。
対前田戦での満身創痍の崩れジャーマン、対ブロディ戦での首が折れるんじゃないかとひやっとしたジャーマン、本書でも述べらている対長州戦での膝をぶち壊したジャーマン、対バーバリアン戦での前歯がバーバリアンの背中に食い込んで折れたジャーマン等……思えば、「高速」ジャーマンというのも藤波が初めてではなかったか。
しかし、哀しいかな、我らが藤波には、「ジャーマンスープレックスの後」がなかった。
ジャーマンの後のリングに「王者藤波辰爾の姿」はなかったのだ。
本書を読めば、著者が「それでよかった」という事がよくわかる。
永遠の猪木フォロワーとしての「天才レスラー藤波辰爾」……繰り返すが、ファンは受け入れるしかない。
本書は著者の性格を表すが如く、「一人立ち」してなく、要所要所に長州力とかおり夫人のコメントが入る。
そして時として、長州の「遠慮がちな短い」コメントが見事に著者よりも「急所」をついている箇所もあり、何とも言えない雰囲気を醸し出している。かおり夫人のコメントもいくつか鋭い……。
結婚披露宴前日にハンセン移籍事件、IWGPタッグリーグで猪木をフォールした直後に前田・UWFのリターン、そして何より、雪崩式リングイン直後の攻撃でダウンするお得意のムーブ……。
常に「主役」を奪われる藤波辰爾の本領は本書でも発揮されているのか……だとしたらある意味凄いが、
藤波ファンはやはり「主役のドラゴン」をずっと待ち続けていた、いや、今だって待ち続けている事を著者には、知ってもらいたい気もする。
G1 CLIMAX 20周年記念DVD-BOX 1991-2010 [DVD]
新日のメモリアルDVDはいくつも見ましたが、ほとんどが試合途中からのダイジェストばかりで、
テーマ曲もカットされていたり、差し替わったりされているものでした。
しかし、この作品が『完全ノーカット』と言うのであれば、せめて決勝戦くらいは入場から入場曲差し替えなしで全て放映されるんだと思います。
壮絶!喧嘩マッチ烈伝 DVD-BOX
顔面キック事件は、残念ながらノーカット収録されてません。また過去に販売された猪木大木戦、前田アンドレ戦ではなく他の喧嘩マッチをセレクトしてくれたら又、評価も変わった気がしますネ。今後に課題を残した感じでした。