あのとき始まったことのすべて (角川文庫)
ベタで、ともすれば陳腐になりがちな設定を「中村航」というフィルターを通すとこんなにも爽やかに、かつ切なく描き出すことが出来るのだ。
そこにあるのは感情の動きを表す激しい語気の往来ではない。
淡々と、時にはユーモア溢れる軽快な言葉のやりとりで綴られている。
そして、それらが幾重にも折り重なり
まるでその言葉のひとつひとつが、互いに化学反応でも起こしたかのように 主人公たちのまっすぐで正直な想いを読み手の心にストレートに伝えてくる。
読み手は自分の中学時代の想い出を掘り起こすかのごとく、懐かしさとちょっぴりの切なさで 主人公たちの心に寄り添い、エールを贈りたくなるのだ。
小難しいことはさておき、
「人生でいちばん笑わせた人」
のそばで時を過ごすことが出来たら人間は幸せだろうし、そう思える人が存在するのはなんて素敵なことだろうとシンプルに思わせてくれる一冊です。
さばドル DVD レギュラーBOX
このドラマを見始めてすっかり虜になってしまった。
まゆゆどころか、AKB48にもまったく興味はなく、むしろ
世間が騒いでいるのが不思議なくらいだったのだけど。
しかし、なにげに深夜にやっていた「さばドル」を
たまたま仕事帰りの疲れた時に見たのだが、38才で
教師とアイドルをやっている(ふつうあり得ない設定
だけど)しじみを見ていたらなんかがんばっている
なと。本物のアイドル渡辺麻友が実際にいるだけに、
あり得るはづのないリアリティーを感じてしまった。
まあ、演技が特別うまいというわけでもないんだけど
なんか惹きつける魅力を感じます。なにがってうまく
言えないが、1つだけ麻友さんの魅力ではっきりと
感じたものがあります。それは、声です。一流の声優
のような魅力のある声をしています。それが、時に
アイドル、時に冴えない女教師、時にラジオのパー
ソナリティーと上手に使い分けています。ファンに
とっては、まゆゆの可愛さが一番なのでしょうが、
私は、魅力ある女優としての将来性を感じたドラマ
でした。
ハミングライフ 通常版 [DVD]
全体的にソフトなタッチで描かれた作品で、ストーリー自体は短いが、内容は結構ほのぼのさせられる作品。ちょっとした癒し系といったところ。
別段真新しいものでもないが、しかし何気ない日常で、忘れてしまった何かを思い出させてくれるような一面も。
上京したてで凹み気味な方は、ぜひ公園を散歩してみてください。もしかしたら、そこには不思議な出会いをくれる不思議なワンちゃんがいるかもしれません。まあ、ワンちゃんではなく、何気に木の根元に置かれた箱の中にこそ、不思議な出会いへの扉の鍵が入っているんだけどね(笑)。
100回泣くこと (小学館文庫)
昨日買い、今日2時間強で読み終わりました。淡々と描かれており、彼女と犬、バイクを中心に展開してます。結末は予想がつきましたが(セカチューを思い出させますね、だから比べてしまいました)主人公の思いの変化がうまく描かれていると思います。前半の幸せな部分の描き方は思わず笑ってしまう場面もあり、とても楽しかったです。後半は暗いです。最後をしめくくる心理状況があまり理解できませんでした。彼女の言葉とリンクさせているようですが、分かりづらかったです。
僕の好きな人が、よく眠れますように (角川文庫)
ピュアな2人の会話がとてもいい。人を好きになる気持ちの肯定感が心地よい。大好きだったあの人を思い出す。そして意表をついたもう一人の主要人物の存在が絶妙なスパイスとなっていて、この人物が出てくる場面では電車の中で笑いをこらえられなかった。この作者はきっととても物知りで頭がいいんだなと感じた。他の作品も読んでみたい。