ミスティック・リバー 特別版 〈2枚組〉 [DVD]
じっくりと語られる内容です。
殺人を犯したかもしれない夫、娘の殺人犯を追う男、妻とうまくいかない刑事などがじっくり描かれていきます。
それはいいのですが、問題はラスト。
このラストにどうも納得がいきません。
まるでアメリカが空爆をして、間違って一般市民の結婚式にミサイルを撃ち込んだにもかかわらず「でも、僕たちは正義のためにやってるんだからいいことなんだよ」と言っているような傲慢さがあります。
クリント・イーストウッドだから仕方ないと思うしかないのでしょうか。
どうにも納得のいかないラストシーンでした。
「世界」はそもそもデタラメである (ダヴィンチブックス)
「14歳からの社会学」を購入したときに、本書は「14歳からの社会学」の上級編です、という著者の宮台真司さんのポップを見て、一緒に購入しました。
ダ・ヴィンチで連載されていた、一見、映画評論のようですが、映画について語っているようで、実は、わたしたちの生きている<社会>や<世界>、そしてそこを生きる宮台氏自身について、語られていました。上級編というだけあって、難解なところもありましたが、難しいことをかんたんに偽装して語るのでなく、難しいことを難しいまま言葉を尽くす宮台氏の姿勢に誠実さを感じましたし、より深く理解できそうな気がしています。(すみません、もう少し精読しないと、言い切れない……)
ただひとつ、わかった気がすることは、タイトルにもなっている、「デタラメ」という言葉、これは、世界への自分への、とても強い肯定の言葉なのだということ、だ。
ミスティック・リバー [DVD]
確かに人生というものは、ほんのちょっとしたことで大きく変わりうる。この映画はとてもヘビーで悲しい。脚本を書いたのはL.Aコンフィデンシャルを書いたライターだが、彼が語っていた。これはボストンを舞台にした「ギリシャ悲劇」なのだと。なるほどと思った。幼馴染みの3人は暗い過去の記憶がある。大人による少年への性的虐待。偶然、デイブがその被害者となった。そして、それは25年経ったあとでも大きなトラウマとなって残っている。それが、さらに新たな悲劇を生む。中年になった3人は、刑事のショーン、元ギャングでいまは堅気になったジミー、何をしているのか良く判らないデイブ。ある日、突然、ジミーの娘が殺され無残な姿で発見される。捜査はショーン刑事が担当、犯行日の夜中、怪我をして深夜自宅に帰ってきたデイブが妻からも疑われる。何をしていたのか、彼にはそれをどうしても言えない事情があった。派手なアクションもなく、物語は悲劇的な結末に向かっていく。ディブは妻の密告により、殺害者にされ、強く否定することもなく、あっさりジミーに刺され、始末される。ラストシーンが印象的だった。祭りのパレードがあり、そこに三組の家族の姿があった。元のギャングにもどったかのようなジミー、ジミーが視線に入り、手で拳銃を打つ格好をするショーン、予想外の事件の結末に途方に暮れたようなデイブの妻、それぞれの未来はどうなるのだろうか。イーストウッドはその先は見る人たちが自由に解釈して欲しいと言っていた。静謐な中で描かれた悲劇的な事件、ショー・ペン、ティム・ロビンスの演技が圧倒的に素晴らしかった。確かに暗い陰惨な物語ではあるが、生きることの難しさと、人生における偶然のもたらす結果について考えさせられた。それにしてもデイブの妻は事件の真相を知り、それからどうやっていく生きていくのだろ
うか。まさに、人生はミスティックリバーだ。
ミスティック・リバー [Blu-ray]
最初に一言、ミステリーとしてはどうかと思います。ある殺人が起こりますが、すぐ犯人が分かってしまいました。
一方、ヒューマンドラマとしてはいい出来です。クリントらしい色調で人間の人生における理不尽が描かれています。幼少期のトラウマはなんであれその後の人生に影を落としますね。少し自分の過去とダブらせてしまいました。