ハイドン:チェロ協奏曲集
ハイドンのチェロ協奏曲は名曲だ。ハイドンらしい陽性の快活さが心のしこりをほぐしてくれる。
本作はロストロポーヴィッチの弾き振り。75年11月の録音だが、音質は悪くない。本作の特徴は現代的なこと。モダン楽器による演奏もさることながら、カデンツァは第1番はブリテン、第2番はロストロポーヴィッチ自身によるもの。この18世紀と20世紀のドッキングをどう捉えるかは人によって異なるだろうが、私は決して古典派の曲の流れを損なっておらず、こういうカデンツァ(特に第1番)もありと考える。
ロストロポーヴィッチがソ連を出国したのは74年。本作は演奏活動の自由を得たばかりのロストロポーヴィッチの喜びに満ち、エネルギッシュ。アカデミー室内管弦楽団の演奏ものびやかでふくよか。
もう録音から40年近い時間が経過したが、今なおハイドンのチェロ協奏曲の代表的名演の1つに数えていいだろう。
ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第2番/ヴァイオリン協奏曲第1番 [DVD]
冒頭、モスクワと思われる夜景がショスタコのV協奏曲第一番をバックに一分程続き当時に引き込まれる。
続いて、本番ムスッとした顔のコーガンの演奏が始まる。
指揮はコンドラシン。
演奏はモスクワ国立フィルハーモニー交響楽団。
強靭なテクニックとグァルネリの美音がよく鳴る。観客の顔のアップが次々と挿入される。皆、演奏と一体となった沈潜した深みのある顔である。ショスタコの顔も出る。
楽章間の短い合い間にコーガンの私生活の映像が流れる。10歳頃の佐藤陽子を指導する真剣な教師としての厳しいコーガンの顔がある。いつの顔にも懊悩がよぎっている。58歳で歿す。
29分の小品ながらよくできた構成の映像となっている。カメラワークもいい。値段も手頃。
オイストラフ コンチェルト・コンプリート [DVD]
4000円以下で曲目も多く、お買い得と思って購入しました。
予想通りというか、古い映像を単につなげただけで手のこった編集はありません。
また音質も決して満足できるものではなく、撮影のカメラ台数も少ないため、カメラワークはほとんど固定です。きれいな映像作品を期待して購入しては後悔するでしょう。
しかし、オイストラフのような歴史的な名手を動画でみられるというのは、ヴァイオリンファンにとっては、この上ない喜びです。曲目の中ではとくに、ブラームスとショスタコーヴィチの協奏曲がすばらしい出来です。ライブのため、音程をはずしたり発音ミスがあったりはときどきみられますが、そのようなことは非常に小さなことであって、全体の曲作り、曲の解釈など、非常に感心させられます。最近の演奏家たちの小さくきれいにまとめる演奏とはまったく違う「迫力」を体感できます。非常にお買い得で、個人的にはかなりお薦めいたします。
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲 [DVD]
良かった点はポーヴィチ自身の曲に対する思いが述べられていること。
音をエネルギーの上昇・下降になぞらえて、その曲がどのような性格を有しているのかを
解説していたシーンなどは「へえ〜」と感心してしまった。
演奏については一言で言うと「神々しい」のだ。理屈抜きで、そう感じてしまった。
いつもどおり、思いっきりガシガシとチェロを弾くポーヴィチなのだが、
その必死さが大変美しい。思い入れたっぷりに、独特な世界を構築していく様は見事である。
しかし、気に入らない点もあった。
演奏の話ではない。それは個々人の好き嫌いの問題である。
映像の取り方だ。私自身チェロを弾くということもあるせいか、
いちいちカメラが切り替わってしまって鬱陶しい。
「あ〜なんで良いところで天上撮ってんだ!」と大変残念である。
ポーヴィチが曲に入り込んでいる様、長年培われてきた美しいボーイング、
細かく美しく、壮大にに表現しようとせわしく動く左手を、
ただ淡々と映してくれればそれだけで良かったのに。
下手に別の部分を頻繁に映しているせいで、却ってその協会の空気感、
静寂の中にズンと浮かび上がるチェロの音と雰囲気を殺してしまった感がある。
また、音と映像の動きがズレているのも気になった。
以上の点は残念でならないが、ポーヴィチファンならば是非購入をお勧めする。
また、ポーヴィチをあまり好まない方、知らない方にも見ていただきたい、と思った。
CDで聴くよりも、DVDで観ると大分印象が違うはずである。
スヴェトラーノフ/ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第2番、ヴァイオリン協奏曲第1番 [DVD]
冒頭、モスクワと思われる夜景がショスタコのV協奏曲第一番をバックに一分程続き当時に引き込まれる。
続いて、本番ムスッとした顔のコーガンの演奏が始まる。
指揮はコンドラシン。
演奏はモスクワ国立フィルハーモニー交響楽団。
強靭なテクニックとグァルネリの美音がよく鳴る。観客の顔のアップが次々と挿入される。皆、演奏と一体となった沈潜した深みのある顔である。ショスタコの顔も出る。
楽章間の短い合い間にコーガンの私生活の映像が流れる。10歳頃の佐藤陽子を指導する真剣な教師としての厳しいコーガンの顔がある。いつの顔にも懊悩がよぎっている。58歳で歿す。
29分の小品ながらよくできた構成の映像となっている。カメラワークもいい。値段も手頃。