英雄ポロネーズ~ピアノ・リサイタル
ブレハッチはたまたまNHKの番組で目にはいり、心にしみいる美しい和音にたちまち魅了されました。彼の名も知らなかったのですが、「ショパンが生まれ変わって弾いているのでは?」と思うほど。さっそく調べて、ショパンコンクールの優勝者であること知り、すべてのCDを購入しました。他にも巨匠と言われる人、技巧の優れたピアニストは多くいますが、ブレハッチの音は純粋で優しく、心に直接響いてきます。単に「若さゆえの純粋さ」以上のもの、大いなるものの加護を受けているような、スピリチュアルな透明さを感じます。このCDでは、とくに同じポーランドの作曲家シマノフスキの演奏が光っています。こんなピアニストに出会えて、幸せです。
ラファウ・ブレハッチII
06年11月の来日公演ライブ録音「ピアノソナタ第3番」を聴いて感激した。このショパンコンクール・ライブの演奏も良い。スケルツオの主題の弱音の速いパッセジが美しい。フィナーレの確かなテクニックによるスピード感とエレガントな盛り上がりがすばらしい。僭越だが、20年前のブーニンを凌ぐと確信する。「ピアノ協奏曲第1番」のロンド・ビバーチェのピアノパートが終わった直後に、オケの音が残るなかでの拍手と歓声には驚かされる。
ショパン・コンクール・ライヴ2005 ラファウ・ブレハッチ I [DVD]
私はラファウ・ブレハッチのDVDを2枚とも購入しました。
1曲目のプレリュードを聞いた瞬間、涙が出そうになりました。
やわらかくて透き通るような音色…。感動しました。
私はピアノが好きなので、いろいろなピアニストのCDやDVDを持っていますが、
私はラファウのショパンコンクールでの演奏が1番好きです。
このDVDの中では個人的に「舟歌」が好きです。
もう1枚のDVDに入っている本選のピアノ協奏曲も最高によかったです。
撮影のアングルも2000年の時より断然いいです。
CDにするか迷いましたが、DVDにして正解でした。
2枚とも購入することをお勧めします。
ラファウ・ブレハッチI
世にショパンの演奏は数多あれど、例えばショパン本人が聴いて良しとされる演奏がどれほどあるのだろうか。確かに、テクニックは素晴らしい。もしかするとショパンより上手いかも知れない。だが、そこに表現されている音楽は? 「ふむ、大変よく弾けています。私の音楽とは違うけれど・・・。」そんな演奏がほとんどではないだろうか。
ショパンの音楽にとって、デリカシーは非常に重要な要素だ。それはショパンの音楽の美の基準だと言ってよい。そこで表現される細微きわまるニュアンスは、静寂のppから怒涛のffまで常に均整の中にあり、節度を保っている。それを踏み外しまでして開放されるような極端な表現は、ショパンには相応しくなく、その美学とは相容れない。ショパンの音楽は常にある種の慎みをもって、その内に秘めた力強い意思を表現するものだ。
ブレハッチは、こうしたショパンのデリケートな感性に正しく感応している。大げさな誇張はなく、しかし細やかな感性は表現のすみずみまで行き届いている。ピアニストを聴くというより、ショパンを堪能できる。ブレハッチの抑制された表現の中から、ショパンの深く激しい情熱が立ち昇ってくる。ショパン・コンクールが久々に選んだ、ショパンに相応しいピアニストだと断言してよい。ショパン・コンクール歴代覇者の中ではユンディ・リとダン・タイ・ソンの長所を兼ね備え、しかもテクニックはそれ以上という逸材だ。