真昼の暗黒 (岩波文庫)
この作品が上梓された1950年代は東西の冷戦たけなわ、ソ連のお家事情を覗き見る尺度において、週刊誌ネタを含め現代の北朝鮮の動向を注視する感があった。
世界的ベストセラーになり、日本でもいち早く翻訳され論壇や世評に一陣の旋風を起こしたと言われる。
スターリン時代の粛清裁判については半ば公然化された虚々実々の情報が世界的な周知であったとは言い条、比喩的にもせよこのような作品が表玄関を賑わせたの
は西側にとっては予期しない恰好なソ連批判の贈り物であった。
それから20年後、作家ソルジェニティンによる「ガン病棟」「ラーゲリ群島」といったソ連体制告発作品が堂々ノーベル賞を受賞、氏が国外追放となったのは記憶に
新しい。
「真昼の暗黒」をもって文学作品におけるソ連体制批判の嚆矢とする位置づけに異存はない。だから言わんこっちゃない、社会主義共産主義なんてのはこんな程度な
んだ・・・・と、しかし政治制度の不備や幻滅感のみを巨視的にとらえ民主主義の優位を下地に反面教師的に顔をほころばせた時代は過去のことである。
レビュー諸氏が述べられているように、この作品は人間断罪の書である。
私見ではあるが、「第三回審問 1 N・S・ルバチョフの日記からの抜粋」は今でも不整脈のように疼いている。
絵で見るある町の歴史―タイムトラベラーと旅する12,000年
図書館で児童向けの場所においてありました。
ヨーロッパのとある地域を原始時代から現代まで
歴史の移り変わりとともに生活様式の変わっていく様を精密な絵とともに表現しています。
個人的にこういう本には弱いです。
歴史。ジオラマのような細かくリアルな描写。宝探し。絵の中が動きそうな絵本です。
絵本には残酷な場面もあります。
シャンハイ・ヌーン [DVD]
ジャッキー・チェン、ハリウッド進出第二弾のヒット作。2000年公開。
ジャッキー・チェンが西部劇に挑むということで話題だった作品だけど、ま、ジャッキーがやればなにをやってもジャッキーの映画って感じです(笑)。ファンなら普通に楽しめる作品。
自分は西部劇に詳しくないのですが、西部劇からの引用やパロディがかなりたくさんあるようで(ほかのレビューによる)、西部劇好きには二度おいしいみたいです。日本よりアメリカでヒットしたらしいしね。
ただジャッキー入門としてはあまりお薦めしません。この当時ジャッキーは四十代半ば、体のキレが落ちてきているような感じがするし、ストーリーがいまいち。
でも、スタントもCGもなしのジャッキーの生身のアクションとその笑顔を見ていると、映画うんぬんでなくやはりジャッキーという人に感動してしまいます。おっさんは励まされます。
真昼の決闘 [DVD]
保安官は市民から選挙で選ばれ、権威、権限、名声と報酬を得ているのに、自分への復讐に来る悪党に対処するために市民へ支援を求めるのは保安官失格と言われかねない。この映画は悪に敢然と立ち向かう勇気と正義感あふれるステレオタイプの保安官像とは違った人間的弱さを持った保安官を描いたことが斬新だったのでしょうね。