タイトルの「降ってきた男」というのは、幕末の若侍２人組み。
土佐から理想に燃えて都へ出ようとしたのはいいけれど、まぁ家出同然だったので、
祖母の怪しい術で二十世紀も末の（これは出版が90年代だからでしょう）東京郊外に飛ばされてしまい、
農園を営む農業ギャル、サエコとその居候、タツローのもとに「降ってきた」、
とまぁこのような話です。
士農工商の身分に慣れきっていた彼らが農業に燃える家主サエコに感化され、
革命感を改める等のちょっと真面目なシーンがないわけではありませんが、
基本はさらりと繰り出されるギャグ設定の嵐だったりします。
わりとありえないことも多いので（例、大ダコにさらわれて海外まで行ってしまう。例その２、農園に現れるクマと決闘の末友情を結ぶ）、
そのあたりは多少読者を選ぶかもしれませんが・・・。
連作短編の形式なので、軽く読めるのも嬉しい。
同時収録の短編も、気の抜けた時代劇あり、シリアスありでなかなかお得だと思います。
「無頼猫」等を読まれて、作者の時代劇的なキャラクタに興味を持たれた方はぜひどうぞ。
絵が純粋に格好良いのもおすすめです。