ある建設会社の社長の子息は、愛車のエンコで難儀しているところをホテルのウェイトレスに助けられる。思わすお熱をあげる子息だったが、その女性には純情なタクシー運転手がいた。しかし、本当の途方もなく大きい敵は実は・・・。

　この映画は「若大将」こと加山雄三氏のヒット曲を使った歌謡映画である。

　しかし、この映画を撮ったのは『ゴジラ』シリーズで世界に名を馳せた巨匠・本多猪四郎監督だった！！

　本作の基礎キャストとスタッフは『若大将』シリーズの面々が揃っているが、こうした中でも脇役や端役には意外と東宝特撮路線の常連が大挙して揃っている｛中には意外な人物がいっぱい！｝。

　映像も、東宝特撮路線の影響が大きい。
　歌唱シーンには、『若大将』シリーズではあまり考えられぬ演出が施されている。また一部の映像では、東宝特撮路線らしいオマージュのてんこ盛りになっている。

　話の部分も『ガス人間第一号』・『怪獣大戦争』・『メカゴジラの逆襲』で悲恋のメロドラマを得意としてきた本多監督らしく、ほのぼのだがシニカルな雰囲気が強い。それだけに、『若大将』シリーズのようなハッピーさを期待するとガッカリするだろう。

　だが、意外な加山氏の個性をよく出しており観応えはある。また一般娯楽映画が少ない本多監督の個性を見出すのも、決して悪くない｛本多監督もお気に入りの一本だった｝。

　東宝特撮路線のファンのみならず熱心な『若大将』シリーズのファンにも、胸を張って薦められる異色の娯楽作。

　気を引き締めて、ご覧になってほしい。