見終わった後にトキオが実体化して感じられるほど、胸に深く響く作品でした。15分×20回の毎回冒頭に流れるトキオと25年前の父、拓実との出会いのシーンを最初は不要に感じましたが、後半になるほどトキオの何ともいえない人懐こい笑顔が大きな意味を持ち胸が熱くなりました。原作にはないキャッチボールやボートでの誕生祝のシーンは、息子が後に残していく父へのメッセージとも相まって切なく、息子の想いに重点を置いて父子関係に収斂した福田靖さんの脚本は秀逸です。人生に希望が見えずにいじけている父を励ますセリフ、後に起こる人生最大の不幸から父を救うメールの一言がごく自然で感動的で、そして決して後の悲劇を明かさないトキオは本当に愛しい息子です。櫻井翔さんの出演作は他にも見ていますが、こんなに胸に突き刺さる透明感も奥行きもある役を演じていたとは驚きました。もっと有名になってよい作品だと思います。