最近では舞台公演など、展開の幅が広がり、それに伴う世界観の変質で、本来の作品性が失われつつあるように思っていましたが、これは原点に回帰した印象の強い作品です。

それに伴い、『時空警察ヴェッカーD-02』までは顕著に見られた、キャストの演技力不足その他による異様な間の取り方の悪さとか、演出の不備（唐突に場面が変わったり、サイドストーリーがうまく本筋に絡まないなど）とかまで帰って来てしまったのはどうかと思いましたが、それらをひっくるめて「時空警察ヴェッカー」なのかもしれません。（苦笑）

解説では、人類初の時間移動した捜査官の物語で、「すべてのヴェッカーの歴史に繋がり」とはなっていても、作中では具体的にそれを示す場面はありません。

渡洋史さんが後のキャラクターの先祖の役かと思ったら、まったく関係なかったりしますし。

不完全なサポートアンドロイドの存在などから、ヴェッカー設立初期の物語だということが推測できる程度で、その基本設定がほとんど生かされていなかったのは残念です。

でも、久しぶりに「時空警察ヴェッカー」を見た気がしました。

この点に関しては満足しています。

このシリーズでは幾度となく描かれてきた、「時空刑事として正しい歴史を守ることとは何なのか」について、その「最初のケース」に初めて直面した時空刑事たちのその後を、ほんの１シーンでもいいから最後に挿入してくれていたら、★５つでした。

なお、今作は映像は綺麗ですが、ところどころ画面がパン（上下、左右に画面が移動）すると、全体がコマ落としのようにカクカクした動きになったり、アクションのシーン（特に前半部）では、多重に画面がかぶさって見える残像現象を起こしますので、大画面テレビで視聴される方は覚悟してください。（どうも原版の影響でこうなってしまうようなので、テレビの性能はあまり関係ないみたいです）