10巻は確かにお通さんがあまり出てこなかったからレビューも書きませんでした。
大和和紀さんのファンになってなんと半世紀近いということに気付いたのですが、デビュー当時から全く変わらないのが、登場人物のキャラクターづくりの一環したちょっと一歩下がったスタンスで、お話が丹精ですっきりしているということ。これが守られていて嬉しい。
こういうこの大河ドラマでも歴史小説でも取り上げられ飽きたほどの戦国オールキャストに、お通さんという今までいなかった人を配置して別の視点をとることで、信長秀吉家康にしろ、浅井三姉妹にしろ、誰に特別に肩入れするでもなく描くことに成功し、それで彼女本人のラブストーリーが、これまた懐かしの大和風ジェントルマンを相手につけて展開して行く。取り上げた背景が壮大なので単行本一冊だと毎回全容をみられるわけでなく毎回やや消化不良だけれど、長く楽しめると思って我慢です。
一つ物足りなく思うのは、他の方も指摘しておられますが、お通の神通力をもうちょっとドラマチックに盛り込んでくれても嬉しい。まあ、そうすると、ファンタジー物になっちゃうかもと、作者は引いておられるかなとも推察するのですが、どこかクライマックスで太夫の力が要らなくなる様な、そんな展開をみたいとも思います。戦国オールキャストとは別のところで話を展開させちゃいましょう。タロちゃんに力が引き継がれるというプロットがあるのかな？

淀も後年の演出脚色で美化されたり大げさにきつく描かれたりしていると思いますが、今回は一人悪役を背負っている感がありますね。これは計算の上でしょうか。
実際どんな人だったのかなと興味がわきました。

完子の輿入は、大河でりえちゃん淀の大手柄みたいになっていたのがほんとうの話だと思っていたのですが、実際どうだったのか興味があります。