何と言っても千住さんのG線上のアリアは音色がゆったりと優しく、豊かで包み込まれるようです。その他にもアップテンポの曲あり、少し尖った雰囲気の曲あり、お馴染みの曲あり、千住さんの色々な側面を感じる事ができる作品です。

このＣＤのタイトルは「impression」すなわち「印象」である。
その名の通り、まさしく印象的な曲がそろっている。
現代曲風味なものが多いが、それほど難解なわけでもなく、楽しめる。
特に一曲目の「楽天家に捧ぐ螺旋」は一聴の価値があると思う。

「ヤン・ハーデルマンの『スポットライト・オン・ザ・バスクラリネット』が聴きたいから、このCDを買う」という人にも一押しの一枚です。

実際、「スポットライト...」が収録された海外のオーケストラ版は、ありがちではあるけれどソリストがパッと来てパッと演奏して録音しま

した...というのが感じられる（これ自体はある意味では仕方がないこと）。そうした、ある種のよそよそしさがどうもこの曲にはなじまない

と思っていた。これまでバスクラリネットといえば、クラリネット奏者でも楽器紹介時に、クラシックをあげることをひかえて「お金を投げつ

けて悪人を退治する時代劇のメインテーマで活躍する...」といったものだった。この曲を聴けば、｢バスパート｣のクラリネットなどとという

先入見（聴？）などはどこかへ行くはず。

私が国内で初めて「スポットライト･オン･ザ･バスクラリネット」を聴いたのは、昨年4月に関西で開かれた演奏会だった。このときは十亀氏

ではなく、村西俊之氏によるものであったが、ジャズテイストがあふれた感動的な演奏だった。この十亀氏のCDはピアノとともに、清水があふ

れるような透明感のある演奏だ。この点で、過度にジャズを期待すると淡々としすぎていると誤解されるかもしれないが、あくまでもしっとり

と聴かせる魅力が消えることはないだろう。