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桜の園・三人姉妹 (新潮文庫)

チェーホフ
おすすめ度:★★★★★
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解説について
おすすめ度 ★★★★★

チェーホフが、登場人物の一人、トロフィーモフに対して冷笑的であるのは明らかである(少なくとも神西清氏の訳で読む限り)。
ところが、新潮文庫の池田健太郎氏の解説では、アーニャとともに、未来を象徴する存在とされている。
いささか首をかしげたものであったが、神西清全集(文治堂)をみると、その点について明確に書いてあり、おおいに納得した。
 
「作者が肩をもつてゐるのは、果してラネフースカヤ・ガーエフ族であるか、それともロパーピン族であるか、それとも非情な神々の戯れといふものであるか、それとも人類永遠の希望である気長な進化学説であるかといふことによつて、この戯曲の解釈は如何やうにも変化するわけである。ただ一つ、頼りない夢みたいなことばかりほざいてゐる万年大学生トロフィーモフ族によつて、明日の世界が突如として明るく開けようなどとは、チェーホフは絶対に考えてゐなかつたであらうが」(神西清「チェーホフの本質について」)
 
全集にあたる手間をかけられない多くの読者は、混乱させられたままだと思うと、気の毒である。
ミスリードな解説は、困ったものだ。
新潮社には、神西氏がチェーホフについて書いたもの(上記、または「チェーホフの戯曲」など)を収録するようお願いしたい。



過去を引きずる人々
おすすめ度 ★★★★☆

現在と過去のプラグとして舞台の上に現在が語られ、その登場人物たちの多くが過去にしがみつこうとあがき、未来へと引っ張られることを拒んでいる。
「三人姉妹」の三人の姉妹も「桜の園」のラネーフスカヤ夫人も、前を向くことを執拗に拒み、ようやく少し頭を上げたときには、全てがバラバラに砕けていく。
人は未来へと引っ張られることを拒むために、様々な理由をでっち上げてはその正当性を主張する。
それは特定の人であったり特定の過去であったり、そういうものに責任を求めることによって、留まること、振り返ることを正当化しようとする。
でもそんなことしても無駄で、やっぱりみんな未来へ向けて流されていく。
19世紀末のロシアなんて今の日本とはかけ離れていて当然のはずなのに、彼らの抱える問題の中にはそんな違いは全く感じられない。
人間たることの苦痛、人間たることの宿命とも言えそうなことが、チェーホフの戯曲の中には激しく感じられる。



チェーホフそして・・神西清のやさしさ
おすすめ度 ★★★★★

チェーホフが素晴らしい作家、劇作家である事は言うまでもありませんし、神西清が素晴らしい翻訳家である事も言うまでもありません。それじゃあ、一体何を言えばいいのでしょう?

このふたりが何故素晴らしいか?それは、ふたりの心が美しい。ふたりの言葉がやさしい。現実を見つめる暖かい人柄そして冷静な眼。「桜の園」を出て行かなくてはならなくなったラネーフスカヤ夫人そして娘のアーニャ。「さ、一緒に行きましょう、出て行きましょうよ、ねえ、ママ、ここから!」こういう日本語、こういうロシア語は心の優しい暖かい人からしか生まれません。

まさにチェーホフそして神西清ゴールデンコンビの名作。



端正で詩的な美しい日本語の名訳。
おすすめ度 ★★★★★

 チェーホフが何を主張したいのか、私には理解出来ませんでした(苦笑)。しかし、神西清さんの日本語訳は、端正で詩的な美しい文章で、ロシア的なストイックな暗さが感じられる名訳でした。池田健太郎さんの解説も名解説で、「チェーホフが何を主張したいのか」が理解出来る様な気がしました。ロシア的なストイックな暗さを、貴方にも味わって欲しいです。


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