本人以外にはどうでもいいような,過ぎ去った人の,過ぎ去った一言,仕草,声の調子.そうした幻のようなもののもつ本質的な力が,現実でもなく夢でもない浅草で,漠然として実は危機的な中年の主人公を再生させる.いつのまにか現実でヤスリ掛けされた人が,何によって生きかえるのか,を追体験できます.
切なくて、怖くて・・・おすすめ度
★★★☆☆
父は39歳、母は35歳でこの世を去った。36年前の突然の別れ。
今目の前にいる2人に近づくことがどんなに危険なことか、分かって
いても自分を止められない。そこにいるのは紛れもなく、自分を愛して
くれた人たちだから。会うことをやめなければと思いながら、会わずには
いられない男の心が痛いほどよく分かる。きっと、ずっと抱えてきた心の
すき間を埋めたかったのだ。もう一度、親の愛情を体全体で受け止めた
かったのだ。いつかは別れなければならないのに。そのことがとても
切ない。男と恋人ケイとの関係も、ホロリとさせられるものがあった。
最後はちょっと怖かったが・・・。
とにかく読んでみておすすめ度
★★★★★
とにかく理屈ぬきで面白いよ。異人とはこの世に存在しない人、死んだ人のことなんだけど、この小説は何がテーマなのかよくわからないけど、そんなのどーでもよくて、とにかく面白い。何が面白いかってそれがわからないのが面白い。評価になってないか(汗)主人公の中年男がある日、江原さんみたいに見えないもの(死んだ人)が見えてしまうのです……でも、只の怖い話じゃないのです。山田先生は視点が違う。すごい才能。今まで読んだことのない小説で、恋愛?、ミステリー?、ホラー?ジャンルは……うーん、読む人それぞれ
切ないけど・・怖い
おすすめ度 ★★★★☆
ホラー小説というジャンルになるのかな・・。前に浅田次郎さんの『活動写真の女』という本を読んだのですが、その感じに少し似ているなという印象がありました。(話は全く違うし、この本の方が読み易く分かり易くて私は好きです)
ここに出てくる異人達というのは想像がつくかと思いますが、亡くなった人々です。
孤独を求めて妻子と別れた主人公は、ある日自分が本当に孤独で誰からの関心も得られない事を寂しく思います。そんな時に自分が生まれた浅草で死んだ両親に逢い、二人と過ごすことでとても幸福を感じる事が出来る。家族って、親って本当にありがたくて大切な物なんだと感じる事が出来ました。
最後にちょっとしたどんでん返しがあるのですが・・・自分のとった何気ない行動が、とんでもない事を引き起こす事もあるのだと思い一瞬背中に寒気が走る場面もありました。