現代、過去をかけぬける女たちの物語 おすすめ度 ★★★★★
「をんな紋」と同様、昔の播磨の情景をよみがえらせた力作。 神社の娘で巫女的要素を持つ祖母・瀬織、素麺「揖保の糸」を作る工場で身を粉にして働く母・英子、都会に出て自分で会社を立ち上げ働きまわる娘・紗知。この女三代の物語を紗知を中心に描かれる。 子宮ガンの苦しみ、離婚、不倫、編集業界のいざこざ、新しい恋愛、母が中国から引き上げてきた悲惨、素麺作りの歴史、母子の葛藤、大神神社の娘である祖母の神秘性、など、バラバラな要素が見事にひとつの物語に織り込まれている。 「平成の宮尾登美子」ともいうべき、女の一生を描かせたら、ピカ一の作家だと思う。
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