I’m sorry,mama.
桐野さんの最近の作品は、とにかく、いっちゃてる世界、というか人物を延々と描いており、今回もまた主役級のキャラクターに、脳天をぶん殴られるような衝撃を受けました。またそれを取り巻く連中の怪しい面々が面白く、ある種これはダークファンタジー(!?)というような、人間の裏側の御伽噺のようなお話です。とかく妙な表現、妙なキャラクターなど、読む人によっては、リアリティの欠如と受け取られるかもしれませんが、それは無粋というもの。小説だからこその、この異様な世界を体験できる事を素直に受け止めたほうが良いでしょう。
お話は、昔存在した娼婦館、そこにいたアイコという名の女性をめぐるお話。なんだか怪しげな人物たちだなあ、と読み始めたら、あっという間の惨劇。そのあとはもうノンストップ。人間の不毛な世界が延々と描かれています。良くも悪くも、これぞ桐野ワールドといった世界が描かれています。
個人的には、やや物足りなさの残る作品ではありました。物語が短すぎると感じました。やはり桐野さんの真髄は長編でこそ発揮されるような気がします。同じような世界をとことん描ききった「グロテスク」と比べるとやや物足りなさが残るのも事実。「残虐記」もそうでしたが、この本も260ページ弱とあっという間に読めてしまいます。やはりここは桐野さんに骨身を削っていただいて、長編の復活を望みたいところですね。作家の苦悩を知らない一ファンの願いです。
お話は、昔存在した娼婦館、そこにいたアイコという名の女性をめぐるお話。なんだか怪しげな人物たちだなあ、と読み始めたら、あっという間の惨劇。そのあとはもうノンストップ。人間の不毛な世界が延々と描かれています。良くも悪くも、これぞ桐野ワールドといった世界が描かれています。
個人的には、やや物足りなさの残る作品ではありました。物語が短すぎると感じました。やはり桐野さんの真髄は長編でこそ発揮されるような気がします。同じような世界をとことん描ききった「グロテスク」と比べるとやや物足りなさが残るのも事実。「残虐記」もそうでしたが、この本も260ページ弱とあっという間に読めてしまいます。やはりここは桐野さんに骨身を削っていただいて、長編の復活を望みたいところですね。作家の苦悩を知らない一ファンの願いです。
「少年A」この子を生んで…―悔恨の手記
私自身、こういったレビューを書くのは初めてです。
内容は、神戸の酒鬼薔薇事件の犯人である少年Aの母親の息子に対しての手記と、父親の手記が少し載っているものでした。
第三者が介入した主観的な記述が無い為、この少年Aの両親についてどう捕らえるかは全て読む人間に委ねられるといった著書です。
だからこそ、レビューを書くなりして自分がどう感じたかについて、何かを確かめたくなる要素を持っているのかもしれないと感じました。
この本を読んで、私が少年の母親に感じた違和感を幾つかここに挙げます。
・少年の母親は、息子を『いい子』と信じていたい気持ちが強いと感じるのですが、その『いい子』というのが母親の主観的な幻想を伴っていると感じました。当事者として現実を受け入れていない感じが、とてもしました。
・この手記には、どこか少年の母親の『私の子育ては問題がなかったと思うのだけれど…』という言い訳に近い意図が所在する様に感じましたし、事件のことも息子のことも他人事のように捕らえている感覚があると感じましたし、まるで『ねえ、皆さん?わたしがどこかいけなかったのかしら?』とでも訴えたいような、そんな印象を受けました。そもそもこの手記を出版する時点で、どこか浅いというか、軽いというか、ピントがずれている様な違和感を感じました。
・少年の母親は、過去少年がやってきたいたずらや加害行為に関して、『何故、その様な悪事をしたのか?』と、自分自身を振り返ることも含めて、本気で真剣に息子のこと考えようとしたことがなかったのだろうと感じられました。『良い面も、悪い面もある子』という一言で片付けようとしてしまうところに、どこか短絡的というか、浅く稚拙な印象を受けました。
・犯行に及んだ少年は、逮捕後に『母親に自分を分かってもらいたかった』と述べていたみたいだけが、そこには母親の楽観的で身勝手な幻想によって練り上げた単純な息子像ではなく、自分は暗部や心の闇を抱えた複雑な人間であるということを理解し、しっかりと真剣に考え向き合って欲しかったという想いが感じられました。
・この犯罪自体は決して許されるものではないとは思いますが、読んだ後この母親に対して感じた苛立ちから、少年が犯行に及んだその気持ちが私には少し理解できたような…そんな気持ちになりました。少年は母親に、『何故、今までこれほどの心の闇を抱えて来た僕を知ろうとも、真剣に考えようともしないままだったんだよ!』と、訴えたかったのではないでしょうか?
・せめて、この手記の中で、少年の母親から『自分自身があまりにも、息子に対して楽観的で愚鈍過ぎた為に起きた事件だった』くらいの一言は欲しかった。
ざっと、そんな感想を持ちました。参考までに。
内容は、神戸の酒鬼薔薇事件の犯人である少年Aの母親の息子に対しての手記と、父親の手記が少し載っているものでした。
第三者が介入した主観的な記述が無い為、この少年Aの両親についてどう捕らえるかは全て読む人間に委ねられるといった著書です。
だからこそ、レビューを書くなりして自分がどう感じたかについて、何かを確かめたくなる要素を持っているのかもしれないと感じました。
この本を読んで、私が少年の母親に感じた違和感を幾つかここに挙げます。
・少年の母親は、息子を『いい子』と信じていたい気持ちが強いと感じるのですが、その『いい子』というのが母親の主観的な幻想を伴っていると感じました。当事者として現実を受け入れていない感じが、とてもしました。
・この手記には、どこか少年の母親の『私の子育ては問題がなかったと思うのだけれど…』という言い訳に近い意図が所在する様に感じましたし、事件のことも息子のことも他人事のように捕らえている感覚があると感じましたし、まるで『ねえ、皆さん?わたしがどこかいけなかったのかしら?』とでも訴えたいような、そんな印象を受けました。そもそもこの手記を出版する時点で、どこか浅いというか、軽いというか、ピントがずれている様な違和感を感じました。
・少年の母親は、過去少年がやってきたいたずらや加害行為に関して、『何故、その様な悪事をしたのか?』と、自分自身を振り返ることも含めて、本気で真剣に息子のこと考えようとしたことがなかったのだろうと感じられました。『良い面も、悪い面もある子』という一言で片付けようとしてしまうところに、どこか短絡的というか、浅く稚拙な印象を受けました。
・犯行に及んだ少年は、逮捕後に『母親に自分を分かってもらいたかった』と述べていたみたいだけが、そこには母親の楽観的で身勝手な幻想によって練り上げた単純な息子像ではなく、自分は暗部や心の闇を抱えた複雑な人間であるということを理解し、しっかりと真剣に考え向き合って欲しかったという想いが感じられました。
・この犯罪自体は決して許されるものではないとは思いますが、読んだ後この母親に対して感じた苛立ちから、少年が犯行に及んだその気持ちが私には少し理解できたような…そんな気持ちになりました。少年は母親に、『何故、今までこれほどの心の闇を抱えて来た僕を知ろうとも、真剣に考えようともしないままだったんだよ!』と、訴えたかったのではないでしょうか?
・せめて、この手記の中で、少年の母親から『自分自身があまりにも、息子に対して楽観的で愚鈍過ぎた為に起きた事件だった』くらいの一言は欲しかった。
ざっと、そんな感想を持ちました。参考までに。